「ふ~ん」で終わらせない!エンジニアがデータ分析で押さえるポイント
この記事はPioneer Advent Calendar 2022の18日目の記事です。
今回はエンジニアがデータ分析を行う際に気を付けたいポイントについて書いていきたいと思います。
はじめに
こんにちは!SaaS Technology Center データインテリジェンス部の中元です。データインテリジェンス部では「全社ビジネスデータ活用」を目標の1つにし、事業のデータ活用が加速する環境の実現に向けて邁進しています。
これまでの取り組みはこちらの記事もご覧ください。
今日はその中で、エンジニアがデータ分析を行う際に気を付けたいポイントについて書いていきたいと思います。
エンジニアが陥りがちな「ふ~ん」で終わる分析とは?
データ分析をしてみたものの、うまく活用に繋がらないというケースはありませんか?時間をかけてレポートを作ったものの、難しくてよくわからないと言われたり、あるいはレポート自体は感謝して受け取ってもらえたものの、実際には使われていないなど。私は何度もあります・・・。
このような次に繋がらない分析を、”「ふ~ん」で終わる分析”として、そこに陥らないために何ができるかを考えていきたいと思います。
まず、自分の経験も踏まえて考えてみると、アクションに繋がらない分析には以下の特徴があると思います。
それぞれ見ていきましょう。
ファクトに近いことだけが書かれている
例えば、「顧客の年齢層は20代が最も多い」や「売り上げのトップ商品はXである」といった、データだけからわかることをそのまま伝える内容になっている場合です。
分析のロジックや説明を中心に書かれている
例えば、「年齢層と利用の有無の関連を判断するためにカイ二乗検定を行い、p=0.04となるため有意水準5%で帰無仮説を棄却した」や「商品の売り上げと地域の関連を判断するために相関分析を行い、地域と売り上げは相関係数0.6の正の相関があった」といった、どのような分析をしたかを説明する内容の場合です。
このような分析で受け取る側が困ることは、その情報をどのように解釈して、何に活用すれば良いかわからないことです。
つまり「ふ~ん」で終わる分析とは、結果の解釈を受け手に大幅に委ねる分析のことです。
もちろん、ファクトやロジックだけを伝えるのが適切なケースもあるとは思いますが、「活用に繋がらない」という悩みはこのような観点のみで分析を行うことで発生するかと思います。
なぜ「ふ~ん」で終わる分析になるのか
なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?理由は大きく2つあると思います。
目線のずれ
まず、依頼する側からすると、データ分析を依頼するときに求めているものは「データによる解決策」です。つまり事業上の課題が念頭にあり、その解決策としてデータ分析に期待があります。
それに対し、分析をする側は、目の前にある数字の正しさや、分析手法の正確さにどうしても意識がいきがちです。
そうなると、依頼する側はビジネス成果を挙げる観点で考えているのに対し、分析をする側は仮説検証そのものや、依頼に正確に応えるということに注力することになり、分析をする目的の目線がずれていることになります。
この目線のずれによって、分析のアウトプットが受け手に寄り添わない形になることが、次につながらない一因になるかと思います。(もちろん正確性自体は重要なことです)
解釈不足
内容としては正しいものの、分析としての結論が弱いケースです。
技術としての成立性や精度が説明されているものの、それが顧客や事業にとってどのような意味を持つのか紐づけがなされていないような場合もこれに当たります。
また、データ分析では示唆を出すことが重要とは思っているものの、示唆がグラフの中の情報に留まるということも起こりがちかと思います。
例えば、「土日に利用者が増えており、平日の1.5倍にあたる」など、ほぼファクトに近い情報を結論としている場合です。
この場合も、事業の内容にまで踏み込んでいないことで、興味深いレポートに留まることが多いと思います。
「ふ~ん」で終わらない分析をするには
では、「ふ~ん」で終わらない分析をしていくにはどうしたらいいでしょうか?分析に臨む上での考え方としては、以下の点が重要だと思います。
「視座・視点を合わせる」とは、分析の依頼主と分析に至るまでの背景や目的、課題等の共通理解を持つことです。
また、「ビジネス理解を深める」とは分析する側が社内外のステークスホルダーが抱える問題や課題を把握し、置かれている状況を理解することです。
これらの「物の見方や知識の有無」は、分析の結果どのような結論を導けるかだけでなく、分析内容にも重要なポイントとして関わってきます。
上記2点を踏まえた上で、次に分析として必要な指針は以下が挙げられるでしょう。
それぞれ具体的に見ていきます。
アクションを分析の結論にする
企業の車両管理を例にすると、「自損事故の削減に注力する」とか「運行スケジュールを変更する」といった受け手が次にどのようなアクションを取ることができるかを結論にすることです。
何ができるかは、受け手の置かれた状況によるため、必然的にビジネスの理解と目的の把握が必要になります。
コントロールできる軸で分析する
たとえば、自損事故の削減をするために、ハンドル操作との関係を分析することは意味があります。
なぜなら、仮に「急ハンドルを切ることを減らすと事故が削減できる」と分かった場合、「ハンドル操作を改善すること」は、他者や外部的要因からの影響とは関係なく、自身で努力(コントロール)できるからです。
この自分たちでコントロールできる結論であることが大事です。
また、意味のある提案に繋がるかも重要です。
「今期の社有車事故を減らす」が目的の場合に、車種を変えると事故が減らせることがわかったとします。しかし、車を変えるという提案は難しいでしょう。
なぜなら通常、複数年のカーリース契約を結んでいる企業はリース満了に合わせて車を変えるため、車種変更で事故が減らせることがわかっていたとしても、その情報だけではアクションに繋げることができないからです。
このような、発見としては興味深いものの、「打ち手に繋がらないが手持ちのデータとして使える」という理由だけで分析軸を選ぶと、ふ〜んで終わる分析に陥りがちなため、こちらも分析に当たる際の目的の把握と、ビジネス理解が重要になると思います。
また、上記を行っていくためには分析そのもののスキルと合わせて、事業や業界の知識の継続的なインプットも重要になるかと思います。
最後に
今回は、エンジニアが分析で気を付けたいポイントについて書いてきました。
企業が扱うデータ量の増加に合わせて、データを扱えるエンジニアの重要性は日に日に増しているかと思いますが、エンジニアが分析から価値のある提案を行うことで、より事業のデータ活用が加速できると考えています。
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Pioneer Advent Calendar 2022 の19日目は、技術開発本部 技術統括グループ サービス開発マネジメント部 1課 田邊 裕章さんの「スマホを繋ぐ、スマホを使う ~カーオーディオとスマホで出来ること」です。是非お楽しみに!