「業務のデータ、どう扱うのが良いの?」を学べるデータ講座を始めました (講座開発編)
パイオニア公式noteをご覧の皆様、こんにちは。パイオニアの全社横断のデータ組織であるCross Technology Centerのデータインテリジェンス部 グロースアナリティクスグループでマネージャーをしています、森本智視(もりもとともみ)です。
日々、データ分析やデータカルチャーの醸成、データ教育などに取り組んでいます。
今回は、パイオニアで取り組んでいるデータ教育の一環として、「データ × エクセル講座」を人事と協力して作り上げた話です。
取り組みの背景とねらい
データインテリジェンス部では、パイオニアが提供するプロダクトやサービスから得られるデータを用いて分析や活用支援、データに関わる育成など幅広く取り組んでいます。
その中でも育成活動においては、これまでさまざまな活動を通じて社内に広がりつつあるのですが、全社レベルでより大きなインパクトを創出するために、できるだけ多くの社員がデータスキルを身につけ業務に活用してもらう方法がないかを模索していました。
人事の教育チームに相談
「育成」ということで、まずは人事の教育チームに私たちの考えていることについてカジュアルに相談してみたところ、教育チームでもいくつか課題を抱えていることがわかりました。例えば、
より多くの社員に受講してもらい、スキルアップによるセルフバージョンアップをしてもらいたい意向もありました。
教育チームとのディスカッションを通して、多くの社員にデータスキルを身につけてもらうには、①入り口(講座への申し込み)のハードルを上げすぎない、②利用するツールが身近である、③研修内容が業務にすぐ活かせる内容、であれば皆にとって嬉しいのではないか?という仮説が出てきました。
取り組みのねらい
利用ツールにおいては、操作方法を身につけてもらうことが主軸でなく、"業務で◯◯のデータがある場合は、このように捉えて、このように扱うと良い" という業務の実践に近いデータから入ることを主軸として具体を学んでもらう。
そうすることで、日々の業務に即した活用度の高いデータの学びを提供できると考えました。
また、今回 Python や他の分析ツールではなく、あえて "エクセル" を採用することに決めました。その理由は次の2つです。
以上の点を軸として検討し、データの学びを提供する講座開発に着手しました。
講座を開発するために考えたこと
講座の骨子としては、いくつかのデータ形式に対する捉え方、扱いの考え方、実際の取り扱いと編集方法、分析方法を伝えることにしました。
エクセル関数知識の一定基準を決める
エクセルを使ってデータを取り扱うには一定のエクセル関数知識が必要です。では、その "一定" の基準をどこに置くべきか?私たちはさまざまな業界からパイオニアにジョインしたキャリア社員のエクセル経験の中で、共通理解度の高いものを基準にすることを考えました。
ポイントは "共通理解度の高いもの" です。
"多くの人がよく使っている"、"多くの人にとって便利で効率良い"、"だから、最低限これらは学んでおくと良い" という視点での基準とすることで、自身の「わかる」「使える」範囲との差分を把握してもらえる、かつ、ハードルは決して高くないので、多くの社員にとって有益な学びの入り口になると考えました。
そして、キャリア社員を対象に "経験を踏まえ、覚えておくと良いエクセル関数" という内容でアンケートを取りました。
講座の進め方について決める
開催方法について、パイオニアには拠点が複数あることから、オンラインでの開催を決めました。講座進行は、"淡々と説明する、聴く" のスタイルではなく、開催前から参加者全員とのチャットをオープンし、事前課題配布や課題に関する質問などのやりとりをチャットで行いながら当日までに解いてきてもらう。講座当日は課題の解き方を説明し、参加者は直接またはチャットでコメントや質問ができるインタラクティブなスタイルにしようと考えました。
講座を開催する私たちとしては、参加者自身が「質問して良いのかな?」や「取り残され感があるな」など消極的にならず、一人一人が参加意識を高め能動的に取り組んでもらいたいという期待やねらいを持っていました。
人事の教育チームとの連携も行い、社員が徐々にステップアップしていきやすいよう、私たちの開発するデータ講座を学びの入り口とし、次のステップアップとして人事が提供するデータ講座の宣伝や受講案内を行うことで、社員にとってセルフバージョンアップしていける流れを作っていきました。
講座を作り、社内告知していく
骨子や進め方が決まってきたので、次は講座の詳細を決めていきます。
この講座のねらいは、日々の業務にデータを活用し、生産性向上や自身の成長に繋げてもらうことです。
講座で取り扱うデータはもちろんダミーデータですが、表現やデータ形式は "日々の業務で馴染みのある" ものにしました。また、講座で扱うエクセル関数については前述のアンケートで得られた "共通理解度の高い" エクセル関数を用いて課題を作成していきました。
次に参加者の募集です。
社内ポータルサイトを活用し、一工夫入れながら講座開催の告知を行いました。より多くの社員に参加してもらうために、案内では「キャリア社員がお勧めする、身につけておくと良いデータスキル」として、参加を考える社員が講座では何を習得できるのかを明確に、自身の今の理解との差分を感じ取ってもらえるよう告知をしました。
また、講座運営が属人化しないよう、当初から標準化・パッケージ化を意識し講座を開発していきました。
こうして出来上がった講座を人事の教育チームに壁打ちし、フィードバックをもらいながら磨き込んでいきました。
講座開催、PDCAを回して改善する
準備が整ったので、ついに講座の開催です、これまで複数回開催してきましたが、進行の流れや伝え方、参加者の巻き込み方などを随時改善しています。
講座開催ごとに品質がブレないよう説明の一部を動画にしたり、講師役が全体の進行を行う中、チャット応対役は参加者が気軽にコメントや質問できる賑やかさを作っていきました。このスタイルの実施は参加者にとって良かったのか、チャット上では「私はこうやって解きましたよ」、「この設問はこのやり方でもOKだと思います!」、「◯◯、知りませんでした!」など、参加者同士のコミュニケーションが生まれるほど積極的な発信があり、全員で学んでいる状況が出来ていました。
開催後のアンケートや次に向けた振り返りを行い、講座中の解説後に反復する時間を入れるなど、改善ポイントを洗い出して対応していったのです。
アンケートの詳細はお伝えできませんが、複数回実施した結果、私たちの想像を超える数の参加があり、下記のようなポジティブなコメントを多くもらい、私たちとしても「やって良かった」「手応えがあった」と感じました。
皆、自身の理解度を再確認、新しいやり方や考え方が欲しかったのだろうなと深く感じることができました。また、私たちの育成活動としては、講座の実施が目的や成果でなく、社員一人一人のデータスキルを高めていくことであるということを再認識できました。
人事主幹の研修にラインナップ
講座を一定の品質で行えるようになったこと、参加者も一定数集まり有効な講座となってきたことが後押しとなり、人事の教育チームが提供するEラーニングコンテンツの一つとして、この「データ × エクセル講座」を取り扱ってもらえることになりました。
単に講座を私たちから人事に渡すだけでは、業務増加や運営工数の移動にしかなりませんので、当初からパッケージ化を進めていたことから少ない工数で実施できる状態となり、スムーズに受け渡しを行うことができたのです。
最後に
講座に参加した社員からは、「よりレベルの高い講座が欲しい」という声もいただきました。今後、このコンテンツをベースとして更に多くの社員にとって有益で、自己成長と組織貢献に役立ててもらえるコンテンツの開発に取り組んでいく予定です。
次回のnoteでは、講座の参加者にインタビューを実施し、よりリアルな声をお伝えします!
よろしければ、私が執筆したデータ分析やカルチャー作りに関する記事もありますので、こちらも併せてお読みください。
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