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「100件共有」で未来を切り拓く! --InputとOutputの無限ループがもたらす組織変化

こんにちは!
Cross Technology Center(以下:CTC) データインテリジェンス部の須田です。現在、データアナリストとして事業のデータ活用を支援する業務を担当しています。

データインテリジェンス部(以下:DI部)では、データ活用の観点で事業組織などの他部門をリードする存在であり続けるためにデータ分析のスキル向上だけでなく、組織活性化や自己研鑽に日々取り組み、半期ごとに目標を設定しています。

上期目標:「Open化 = 100件/人 共有しよう」・・・です

「半年で100件ということは、1カ月で16件!? すごい量・・・」
「 ”共有” って、誰に・何を・どこで・・・?」

皆さんもそう思われたのではないでしょうか?
一見無謀とも思える量ですが、この高い目標(ムーンショット)を掲げる背景、そして掲げた目標をチームでどう咀嚼して乗り越え、血肉にしていくのか、そのプロセスを紹介したいと思います。


はじめに:自己紹介

これまでの経歴などを簡単に紹介させてください!

1社目(新卒):某老舗Webメディアで営業とメディア企画を経験
2社目:某メガベンチャーで、データプランナーと営業企画を経験
3社目:パイオニア株式会社  データアナリストとして入社(2024年3月〜)

約12年間で営業・企画・データの職種を経験し、3社目の転職先としてパイオニアに入社しました。

パイオニアへ入社した決め手は、面接官(DI部のメンバー)と会話していく中で、すぐに仕事や自分がチーム内に居るイメージが湧いたこと。面接で「(前職で周りから言われていた)"ホスピタリティが強みです" 」と伝えると、「自分で言う人は少ない」と言われて、武器にしていいのか悩みましたが・・(笑)、これまでのキャリアを生かせると直感し、ほぼ即決しました。

現在は、モビリティサービスの売上や生産性の向上に向けたデータの入口から出口までの全体的なデータ関連業務に携わっています。具体的には、新規事業のデータ設計や分析・KPI設計のリード、データ連携・マート構築、BIダッシュボード構築・支援などです。

私です

データのProfessionalであれ!

CTCでは半期ごとの目標設定にOKRを用いています。DI部では組織活動の目標(Objectives)として「Professionalであれ!」を掲げ、達成できるよう日々業務に邁進し、毎週進捗を更新しています。

上期のDI部 組織活動目標

補足:OKRとは?
OKRとは「Objectives and Key Results」の略称で、「達成目標(Objectives)」と、目標の達成度を測る「主要な成果(Key Results)」を設定することによって企業やチーム、個人が、全力で同じ重要課題に取り組めるようになる目標管理手法です。

引用元:OKRとは | 人材育成・組織開発 お役立ち情報・用語集

OKRの主要な成果(Key Results)には計測が必要で、定量的な目標に落とし込む必要があります。

DI部は、どこかの事業に特化する部門でなく、全社横断でデータ分析を推進したり、データ活用やデータドリブンカルチャーの醸成を促進する組織なので、メンバーごとに担当している事業・案件に対して定量的な目標を立てていきます。定量目標の計測は次のようなイメージで運用しています。

<計測方法>(イメージです)
下記4つのフェーズごとに週次で進捗を評価、ポイント制で集計
(最大100ポイント=進捗100%)

① 活動スタート:0〜19 ポイント
② アウトプットする:20〜69 ポイント
③ 仕組み化する:70〜90 ポイント
④ 成果検証と共有:91〜100ポイント

InputとOutputを繰り返し鍛え抜く「100件共有」

DI部の組織成長の観点で掲げているOKRのひとつに先述のOpen化(100件共有)があり、このOKRを設定したグループCDO 兼 CTC DI部 部長の保田に、その背景を聞きました。

データ組織として活動を推進するにあたり、情報の質と量の観点で組織力のベースラインを引き上げられないかという思いがありました。

というのも、データ組織はさまざまな経験とキャリアを積んできたメンバーが集まり、良い意味でそれぞれが尖っています。これはこれで良い部分ではあるのですが、皆がそれぞれの得意分野を吸収して自分のものにするのは、難しくて時間もかかります。そこで、情報を誰もが持てる・使えるものにすれば、組織の土台の一つになり得るのではと考えました。
ただ、個人の持つ情報の質・量に差があるのは事実です。しかし、その個人に偏りがちな情報を出し合っていく習慣(=Open化)ができれば、その情報を蓄え活用することで、皆の知識向上と物事を進める上で役に立つのではないかと考えました。
例えば、ある物事を進める際、AさんのOpen化がBさんのInputとなり、Bさんは何も持たない状態から "情報" という武器を備えて仕事に臨めるようになります。Bさんはその情報を活用することで、新たな結果ができ、Bさんの経験値が高まり、アップグレードされた情報を今度はBさんがOpen化して、Aさん、CさんのInputとなるサイクルができます。
さらに、AさんのようなOpenにする側の情報感度がさらに高まり、InputとOutputのサイクルを通して組織力のベースライン向上に繋がる「これは良いことだらけの活動!」だと確信し、OKRの目標としました。

なるほど。自ら知り、人から知る機会や習慣を内側から作っていくことが狙いなんですね。次に、OKRとしての「100件共有」を見てみましょう。

「100件共有」のOKR

いろいろと書いていますが、つまり

・知識や経験を吸収する
・人に伝えられるほど咀嚼・理解する
・リアクションしてもらえるくらいの内容を書く

という「共有するだけじゃダメよ」ということ。
加えて「仲間の共有にも目を向けよう」という一蓮托生の目標になっています。組織強化のため、仲間のことを知るためにも発信するだけでなくリアクションすることが大切なのです。

何を以て「1つの共有」とするか?

ここで議論となるのが「計測」についてです。
どのような内容であれば計測の条件を満たすのか?ということですが、はじめに定義を明確にする流れは、いかにもデータ組織らしいですね(笑)。

<主に出たポイント>
 ・何を以て「1つの共有」とカウントするか
 ・情報の質は?
 ・読み手はどう振る舞うべきか?
 ・どのように計測するか?自己申告で良いのか?

とはいえ、新しい取り組みですから、適度なルールと適度な柔軟さが必要です。最終的には先述のOKRで定められた判断基準で進めることとなりました。

挑戦してみて思ったこと

「無理じゃん!」

正直に言います、「無理じゃん!」と思いました(笑)。
100件は月16件と書きましたが、さらに週に置き換えると3〜4件、ほぼ毎日何かを発信することになります。 リアクションも得なければなりません。

加えて、チームメンバーがせっかく発信した内容を受け取りきれる(読み切れる)のか?もあって自信がなくなりました・・・100件 × 人数分の情報が生まれることになります。

しかし、営業経験がある私にとって目の前に数字目標が置かれると目指さなければならないと思ってしまうのが宿命・・・!まずはやってみようと思い、進めていくうちに次の気付きがありました。

【気づき1】 質と量のバランスをどう考える?

明確なモノサシは無く、また決めることも難しいです。質が低いと指摘があれば上げればよいので、まずは出してみることが大事だと気づきました。私が所属するグループでは、共有される内容について「ニュース記事や情報サイトの要約でも十分嬉しくない?」という声もあり、「なるほど!」と思いました。

ただ、どれだけ有益な情報でも、成長に繋がらなければ目的に沿った共有にはなりません。

有益で成長につながる共有の一例


有益だが成長につながらない共有の一例

【気づき2】 「皆が知っていそうなこと」を挙げるのが怖い

実際に取り組んでみると、「皆が知っていることを書いてよいのだろうか?」という潜在的な不安があることに気づきました。

しかし、100件を目指すにはそうは言っていられません。全員が知らないことを共有する必要はない。DI部はバックボーンの違う者同士が集まっているのだから、互いに知らない情報や経験を持っているはず。全員でなくとも数人のためになりそうなら、"まずは出してみればいい" ということに気づきました。

【気づき3】 盛り上がったら儲けもの

頑張って書けば書くほど自分の投稿は可愛いですし、読んでもらいたいものです(笑)。しかし、丁寧に書くとリアクションをもらえるか?というとそうではないですが、何かのOpen化をきっかけに共感コメントやアップデート情報をもらえるような盛り上がりができたら儲けものです。

また、将来有益だと確信していても他の方にすぐ使える情報とは限りません。自分が書き手であるときは、読み手に過度な期待をしないことも、どんどん発信する上で大切だと思いました。

【気づき4】 最低限のスタンプ、なるべく一言返してみよう

受け手としての振る舞いも問われているこの目標。
自分の投稿に何もリアクションをもらえないと悲しいですよね!?

"経験談として、業務改善系の担当をしていたことがあり、私がアナウンスする発注書ルールに関する広報には全然スタンプがつかないのに、直後に投稿された大型案件受注の話にはいろんな種類のスタンプが大量について・・・そりゃ皆そっちのほうが楽しいよねウンウン・・・と寂しい思いをしたものでした"

話がそれました(笑)。

自分がされて嬉しいことはなるべく他のメンバーにもしたいと思っていますが、スタンプの便利さとは裏腹に「押して読んだ気になる」のも実態ではないでしょうか。

まずは簡単な感想でも良いのでコメントしてみるよう心がけてみました。すると、コメントが増えたり、会話に発展したりして、メンバーの考え方やリアクションの取り方を見ることができました。

そして、ちゃんとコメントできるくらい読んで理解しようとすることが、さらなるInputを生み出していることにも気づきました。全部は難しいですが、なるべく反応してみることが、案件を進める際にステークホルダーと会話する訓練にもなるような気がします。

皆の頑張った投稿をまとめたい!

定義が決まり運用が始まったものの、計測方法は、はじめ個人に委ねられることになりました。しかし管理するのは面倒ですよね・・・何より、折角のノウハウが散在して溜められないことになります。

皆の共有が散らばって整理されないのは勿体無いので、集約する方法を考えました。クローズドすぎなければ共有先に制約がないこともあり「集計が難しいのでは?」という空気でしたが、PowerAutomateを活用し、なんとか自動化することができました。

<集計ロジック>(イメージです)
 ・集計対象:TeamsのチームA/B/C、またはチャットN
 ・トリガー:キーワード:「百共有」を含んだ投稿や返信があった場合
 ・アクション:該当のエクセルに情報を集約する

PowerAutomateで「キーワードが言及された場合」というTeamsコネクタを使う際、いろいろ設定してみてもトリガーがうまく発動させられず、やむなく「百共有」という3文字を選びました・・・今ではDI部の共通言語として浸透しています(笑)。

しかし、このTeamsコネクタの仕様上、投稿時だけの情報を確認するため、後に投稿を編集した場合、トリガーは発動されません。

したがって、エクセルに自動集計されるシートと手書きで記入できるシートを別で用意し、その2つのシートを集約して一覧で見れるようにし、参考までに何件共有したか?をメンバーごとに分かるようにしました(下図左表)。

この時点で一度部内に共有して運用を開始していきましたが、この状態では計測方法の「リアクション」の部分をうまく集計できていません。そこで、DI部の竹内がさらにリアクションが3件以上ついた投稿を集計するロジックを組んでくれました(下図右表:リアクション3件以上)。

部の活動をよりよくするために自発的に動いてくれるメンバーがいるのはDI部の素敵なところです!

エクセル集計のイメージ

★DI部 竹内 の記事もご覧ください!

やってみての感想

活動が始まって2カ月弱、自分は業務上で知り得たことの発信のほうが得意で、テクノロジーに関する時事ネタに弱いということが分かりました(笑)。

説明書を読む前にまずは操作してみるタイプなので、自分の知ろうとしなかった情報はたくさん知りそびれているのではないか・・・この気づきが得られたのも他のメンバーが共有してくれたからこそです。

また、実際に取り組んでみてどうかについて、部内や他部門のメンバーに聞いてみました。

共有するときは、内容の要約や気になった点とあわせて自分の意見も記載するよう心がけています。グラフなどの画像を添付するようにして、読み手にとって少しでも負担にならないよう配慮しています。

この取り組みを通して、電車に乗る時間は通勤時に限らず情報収集に費やすようになりました。さらに、見るサイトが固定化されていること、目につく記事は自分の苦手意識の強いものが多いことも発見でした。

他メンバーの共有してくれる内容は、自分では辿りつけないものばかりだなぁと思うので1つずつじっくり読んでInputしています。

★DI部 石橋 の記事もご覧ください!

Open化の取り組みを企画した保田にも聞いてみました。

データ組織のメンバーにとって普段触れる機会の少ないこと、または、いずれ皆が必要とするであろうことを想定し、先手を打って準備しておくとよい情報を発信するようにしています。

皆の発信に全てコメントすることは難しいですが、全てに目を通し「読んだよ!」という合図として、共有された内容に近しいアイコンでリアクションするようにしています。

データ組織としての性質上、どうしてもデータに関連する内容に寄りがちですが、私の知らなかった内容もあって貴重なInputになっているのと、メンバーそれぞれ発信内容の目の付けどころのユニークさが見られたり、純粋な気持ちが前面に出てきていると感じ、個々のOpen化ハードルが下がり、Open化する習慣ができてきていると感じています。


DI部以外にも人事総務本部の添田、CTC リスキリング推進室 室長の福井からもコメントをもらいました!DI部に留まらず他の部門からも注目してもらっています。

ナレッジや気づきという属人化しがちな内容を、誰もが見れるオープンな場でアウトプットするという素敵な取り組みだと思います。
様々な方が発信&投稿にリアクションがある様子を見て、DI部は心理的安全性の高い組織なんだな、といつも感心しています!

活動を知ったキッカケは、保田さんから「こういう話好きそうだからコメントしてよ」と声をかけてもらったことでした(笑)。

活動に関わって気づいたのは「物事に対する他者視点を知ること自体が自分へのInputになる」ということです。ということで、自部門でもOpen化するためのチャネルを立ち上げました

最後に

「100件共有」はまだ始まったばかりです。上期が終わった時点で何件の共有が生まれているのか? InputとOutputの結果、メンバーそれぞれにどのような変化が起きているのか・・・?

私ひとりでも今の時点でいろいろと気づきがあり、きっと上期が終わる頃にはたくさんの気づきがあって一皮剝けた組織になっていることでしょう!その先の景色が楽しみです!

DI部は全社に向けたデータ分析やデータカルチャーの醸成、データ教育などに取り組むだけでなく、自分たち自身の自己研鑽も強めていき、パイオニアのビジネスに貢献していきたいと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました。
また次回以降のnoteも読んでいただけると嬉しいです!!


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