音響系エンジニアがソフト開発部に異動してみたら?
従来の「“モノ”を売る」ビジネスモデルに、ソフトウェアなどの“コト”を掛け合わせ、ソリューション企業への変革を推進しているパイオニア。
その中で社員は何を考え、どのように働いているのか社員にインタビューしてみました。
業務内容
データを活用した、製品・サービスの土台となる技術づくり
私は今、Piomatixという、パイオニアのさまざまな次世代製品・サービスに使われる、コアとなる技術の開発に携わっています。「Piomatix」は、ドライバーや走行の状況把握・AI・データを組み合わせ、適切なタイミングで必要な情報やナビゲーションを提供する、パイオニア独自のモビリティAIプラットフォームです。
私はその中でも「走行推定エンジン」という、ドライバーの走行を推定する技術に携わっています。
具体的に説明すると、カーナビなどの端末のログデータを集めて“この人はこういう場所によく行く”だとか“こういうことに車を使っている”という分析を行ってデータに落としこみ、より洗練されたサービスの提供に役立ています。以前に別のnote記事でも紹介された「ウニ分析」を引き続き進化させるなど、移動にまつわるデータからより最適な情報提供ができるようにする技術の開発を担当しています。
実は、昨年の4月に自分から希望して部署を異動し、ゼロベースで新たな業務に取り組んできたところです。勉強を重ねてわからなかったことがわかるようになる過程は非常に楽しく、このタイミングでチャレンジをさせてもらえたことに、とても感謝しています。
入社からこれまでのキャリア
職人芸さながらの、音研究という道
もともと、入社してしばらくはカーオーディオの開発を手がけていました。大学で音や音楽に関連することを学び、大学院では音声の研究室に所属して、音の情報から口の中の形を計算で求める手法の研究を行っていました。就職活動では“オーディオメーカーに就職したい”と思い、パイオニアの面接の雰囲気や社員の優しい印象に惹かれ入社することに決めました。企業のミッションである「より多くの人と、感動を」がまさに、自分がやりたいことだと思ったというのもあります。
入社した当初は研究開発寄りのチームに配属され、車の中の障害物や各スピーカーの距離差によって生じる音の変化を制御するために、車室内の音波伝搬をコンピュータシミュレーションするツールの開発部隊に配属されました。見えない音を数字にして“見える化”する仕事、といえば伝わるでしょうか。
2年後に、念願の製品開発に関わるチームへ。シミュレーションチームで培った理論やその理解力を生かしながら開発できたのはよかったと思います。音質にはいくつもの複雑な物理現象が影響する上、車内でのオーディオ環境は整っているとは言えません。例えば、座る位置によっては左右のスピーカーからの距離が異なること、車の形や素材によって吸音/反射の影響を考慮する必要があることなどが理由です。これらの物理現象を把握し扱いながらうまく扱いながら、お客様がハッと息を呑むような感動する音を鳴らせられるよう、各スピーカーからの出力を信号処理で調整していきます。
自分がメインの開発者としてつくったカーオーディオが世に出たときは、人生最高の感動と達成感が得られました。開発に携わった車が街で走っているのを見ると、「自分が魂を込めて作った音が鳴っているんだな」と嬉しくなります。
人間の感覚が関わる音質は、言葉や物理量での表現が難しい故に、車メーカー側の担当者の方との意思疎通に苦戦することもあります。また、“音源そのままの音を届けたい”というパイオニアの音の哲学と、車のキャラクターとのマッチを考え実現させるのが、カーオーディオ開発の難しいところでもあり面白いところです
あるスポーツカーのオーディオ開発では、“スポーツカーにふさわしい元気でノリのよい音を出したい”という個別のニーズとの落としどころを探りながら、作り上げました。実は大学の頃、モータースポーツにハマっていたので、車乗りとして関われてとてもうれしい開発でした。
そのような達成感もあり、30代に差しかかる節目のタイミングで、以前から抱いていた“プログラミングをやってみたい”という思いを会社に伝え、今の部署に異動しました。音の仕事はつきつめるほど奥が深く、数値化のできない世界。そこで職人技を磨くのもかっこいいと思っていました。でも、ちょうど会社も“モノ”דコト”(プロダクト&ソリューションサービス)の両輪で新しい価値を創り出そうと方向転換しているところだったので、ぜひそちらにも関わってみたいと希望を出しました。
チームの雰囲気とこれからの展望
形があってもなくても、誰かに喜んでもらえたら
社内でのキャリアについて、こうした希望は若手社員でも正直に言える雰囲気がパイオニアにはあると思います。異動のことだけでなく、開発や仕事を進めるうえでも、若手の声をよく聞いてもらえます。大企業の堅いイメージはないし、優しい雰囲気があって。裏を返せばおとなしい、とかおっとり、ということになるかと思うのですが、その中で自主性がありグイグイいける人は、同期でも後輩でも輝いていて、頭ひとつ抜けているなと感じます。
今のチームにいる先輩方は技術もマネジメントもできる人たちで、仕事と家庭を見事に両立しているので、尊敬しています。特に今の課長・リーダーの下で働けることは僕にとって大きなモチベーションになっています。業務のバランスなどを気にかけてくれたり、忙しい中でもしっかり話を聞いてくれたりと、メンバーのことをとても気にかけてくれるんです。それも上下関係を感じさせず、尋常じゃないくらい対等に(笑)
技術に対しても知識が広く、開発をスムーズにリードしてくれます。僕も、彼らのようなリーダーになることを目標にしています。
僕個人の当面の目標は「この機能、すごい!」と、製品に注目を集めるきっかけになるような技術をつくることです。自分の開発した技術が“引き”になって、製品に興味を持つ人がたくさん増えるような。“モノ”と“コト”の垣根を超えて、自分が作ったもので誰かが喜んでくれるのが、何より嬉しいです。
どんな後輩に入社して欲しい?
上でも少し触れましたが、こんな人たちが活躍できると思います。
先ほどもお話ししましたが、パイオニアの雰囲気の中で自分の確固たる意志を持って仕事を進めていける人は、頭ひとつ抜けている印象です。そういう人たちにジョインしてもらえると、個人も輝け、会社にも良い風を吹かせてくれそうだと期待します。
また、“好きだからやる”というのが、結局いちばん強いなと感じていて。僕自身もそうなのですが、好きだから仕事がおもしろいですし、苦労も苦と思わず楽しみながら乗り越えられます。
僕も今後は今の分野での専門性を高めつつ、徐々にマネジメントの仕事も任せてもらえるようになりたいと考えています。音に関わってきたキャリアはもちろんひとつの武器として、必要なタイミングで役立てられるようにしたいと思います。
パイオニアでは一緒に働く仲間を募集しています。