「DroidKaigi」に登壇した振り返り
Androidの国内最大の技術カンファレンスである「DroidKaigi 2022」に応募するにあたり、セッション検討から登壇までのお話を書きたいと思います。
自己紹介
方波見(DroidKaigiではbamiで登壇しました。)
2022年1月入社 SaaS Technology Center モバイル開発部所属
担当アプリ: PioneerSmartSync(パイオニアスマートシンク)
Android歴: 4年
What is DroidKaigi?
DroidKaigiは2015年から開催されている国内最大級のAndroidカンファレンスです。
最近リリースされた技術やアーキテクチャ、ちょっとニッチなお話など、Androidならでは、かつ、ためになるセッションが多く、Androidエンジニア的には年に一度のお祭り!のような雰囲気もあり、楽しみにしている人も多いと思います。
個人的には、公式グッズや各社さんのノベルティも楽しみの一つです。
(出社時には、去年のDroidKaigiTシャツをかなりの高確率で着ています。)
また、2022年は3年ぶりのオフライン開催ということなので、待ち遠しかった人も多いと思います。
DroidKaigi登壇までの道のり
ここからは、本題のDroidKaigiでの登壇について書こうと思います。
なぜセッションに応募しようと思ったのか
モバイル開発部全体の取り組みとして、技術と情報のキャッチアップ・アウトプットをする習慣づけをしていくために、1人1人プロポーザルを出してみよう!という案から決まりました。
いきなりOSS(Open Source Software)のような大それた事はできないですが、これまでパイオニアで働いてきたメンバーが培ってきた経験や技術・知見が同じ様な課題にぶつかって困っている人の解決の糸口になることもあるのではないか?
技術カンファレンスにセッションを応募するのも風物詩なので、AndroidエンジニアならDroidKaigiで挑戦してみよう!ということで応募しました。
セッションのお題は何にしようか
応募することはかなり早い段階で決まったので、業務の合間にセッションの題材になりそうなものを考えてみたのですが、自分なりの良い案が思い浮かばずギリギリまで苦戦しました。
締め切りまで残り1週間となったタイミングで、考え方から改めないと作り終わらない!と思い、セッションを作り切るまでのステップを決めました。
具体的には以下ように進めました。
短時間で集中して考える・サブミットするまでの作業時間を確保する
4時間程度確保しました
1年を振り返り、話せそうな案かどうかは置いておいて、思い出したこと全てを洗い出す(細かい内容は割愛)
どんなコードをコミットしていたか
開発環境向上のために行ったこと
技術調査の内容
開発作業とは別に、開発をスムーズに進めるためにどんなことをしたか
DroidKaigiの公式から展開されている募集セッション一覧を見てみて、どんなセッションが掲載されているのかを把握する
募集中のセッションと、自分が話せそうで内容が被らないようなセッションを考えてみる
セッション内容を考えていく上で、応募数が多いカテゴリは当選倍率が高いので、少し浅ましいかもしれませんが、あまり応募が多くないカテゴリでセッションを考えることにしました。
応募されているセッションをカテゴリ別で見ると、やはり技術の話が多かったので、今回は違った切り口でセッションを考えてみようと決めました。
そうして、「エンジニア駆動でデザインツールを刷新した」というセッションがお題となりました。
セッションの内容について
結果からいうと、デザインツールをXD(Adobe社)から脱却してFigmaにしたのですが、収録一週間後(DroidKaigi当日の3週間前)にAdobe社がFigmaを買収したという発表がされたため、Adobe社のツールからAdobe社のツールへ乗り換えるというオチになりました。
しかしながら、「エンジニアがツールを変えたいと提案し、実際に新しいツールを導入するまでの活動」の一例をお話しすることができたので、不便さを感じている方やデザインツールの導入に悩んでいる方の役に立てばいいなと思います。
DroidKaigiでのセッション内容で触れる、”どのように新しいツールを導入したか”の詳細については過去記事に残してるので、参考にしてください。
せっかくなので、セッション内容に盛り込めなかった部分をQ&A方式で書いていこうと思います。
Q. デザインツールを変えても、開発プロセスが変わらなければ効果が薄い?
A. 今回は開発プロセスまで含めた内容でセッションを作ったのですが、プロダクトの情報共有面で不満がある場合は、効果が見込めると思います。
また、すでに利用している場合でも、共有しているメンバーの見直しをすることでプロダクトへのフィードバックをしてくれる仲間を増やすことができるケースもあると思います。
Q. デザインツールの選定の際に利用したものは?
A. セッションではXD, Figma, Sketchを比較対象に挙げていましたが、その他にはInvisionもありました。
Q.Figmaで気をつけた方が良い点は?
A. 費用がかかる権限についてきちんと理解しておく必要があります。
基本的にはEditorのみ課金対象となるのですが、各ファイルでオーナー権限を持っているEditor全員が、新しいEditorやViewerを追加することが可能なため、知らない間にEditorがたくさん増えている!といったことが発生しないように気をつけた方が良いです。
ただし、請求が来るタイミングで費用がかかるシート(アカウント)の通知がくるため、その際にシート数の確認と権限の修正をすれば、意図してない費用の発生を防げます。
Q. Figmaでおすすめのプラグインは?
A. Material Theme Builderというプラグインがあり、デザイナーさんがマテリアルデザインへの対応をする際に比較的簡単にすることができます。
Q. Figmaでそれぞれのプラットフォームごとにコードとして取り込む際にexportしやすい?
A. exportできるプラットフォームはプルダウン形式で選択できるので、かなり簡単です。
選択できるプラットフォームはiOS/Androidの他に、CSSも選択することが可能です。
いざ、事前収録
個人的には極度のあがり症なので、セッションの収録方法は事前収録を選択しました。
(収録後に、「Speaker Interview」として会場で自分のセッションを見ながら参加者からいただいた質問やコメントをリアルタイムでお答えするというものがあるのを知りました。笑)
そのため、セッションの撮影は9月の上旬にDroidKaigiさんが用意してくれたスタジオで実施されました。
撮影用のお部屋に行くと、カンファレンスでよく見かけるあのパネルと台がありました!
(この時点でかなり緊張しました。)
オンライン配信では見えない部分ではありますが、撮影用の設備もかなりしっかりしたものをご用意いただき、ただただ緊張が高まりました。
噂では去年よりさらに性能が良いカメラを使っていたそうです。
おそらく、何度挑んでも思うことだとは思うのですが、ドキュメントのここを直せばよかった・もっと発表の練習しておけばよかったと思いました。
(次のページに移った時、一呼吸置いてから話し始めることを意識したのですが、息を吸って吐いているうちに話したかった内容が大体飛んでしまうので、上手く話せるコツがあれば教えてもらいたいです。)
DroidKaigi 当日
Day 3はお仕事の都合で残念ながら参加できなかったのですが、Day 1と2は目一杯楽しませてもらいました。
Day 1
オープニングトークから始まり、ほぼ一日中、何かしらのセッションを聞いている状態でした。
セッションを聞いていて気づいたのは、DroidKaigiに初参加した時に比べて、セッション内容に共感している回数が増えていることに自分の成長を感じました。
ただ、共感してるだけではなく、学びも多かったので、社内勉強会で題材にしたいと思います!
セッション以外の時間にはオフライン限定企画として、スポンサーブースのスタンプラリーをコンプリートするために色々な会社さんのブースでお話を聞かせてもらったり、夜のMeetupでネイリストさんをお呼びしてもらっていたのでDroid君のネイルをしてもらったりしました!
(すごい可愛かったので、来年もやってもらいたいです。)
Day 2
自分のセッションの配信とSpeaker Interviewに参加しました!
(それ以外の時間はもちろん他の方のセッションを聞いていました。)
機材トラブルで配信時間が少し後ろ倒しになったのですが、配信開始後は大きな問題も起こらず、無事に終了してよかったです。
セッション動画については、後ほどDroidKaigiの公式YouTubeでセッションだけを切り出したArchive動画が上がると思うので、ぜひご覧いただければと思います。
ライブ配信中に頂いていた質問で、リアルタイムで回答することができなかったものがあったので、こちらで回答させてもらいます。
Q. 弊チームではFigma内のオブジェクトが増えた結果、メモリの圧迫がすごくて最近チームではページ分割をするようになりました。bamiさんのチームではページ分割等のポリシーとかって決めていたりされますか?
A. 現段階では全てのファイルの移行が完了しているわけではなく、そこまでオブジェクトが多すぎる状態ではないため、ページ分割などのポリシーは細かく決まっていない状態です。
ですが、ポリシーが決まってない状態で運用をし続けると、いつかはメモリ圧迫をしてしまう可能性があるため、この様に運用できたらいいなと思ってます。(個人の見解なので、もっと良い方法があれば教えてください。)
1つのFileに詰め込みすぎず、スタイルガイドやワイヤーフレームなど目的が分けられるものはFile分割する
コンポーネントなどのライブラリは巨大なものになりすぎない様に細分化する
ページを表示する際に一度、使用されているライブラリ全体が読み込まれるため、ライブラリ自体が肥大化しているとメモリに負荷がかかってしまう場合がある様です。
配信が終わった後は、やり切った達成感が強く、本当に登壇することができてよかったなと思いました。
これだけの規模のカンファレンスで登壇したことがなかったので、反省する点も多いですが、自分にとって成長させてもらえる良い経験だったので、DroidKaigiでの発表を見てくれた方、運営スタッフの方々、応援・サポートしてくれた会社の仲間に感謝したいと思います。
最後に
今年はDroidKaigiアプリのコントリビュートまではできなかったので、来年チャレンジしたいと思います。
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