モノ×コトで世界を変える~モビリティサービスカンパニーCEOの想い~
今回は、常務執行役員 パイオニアのモビリティサービスカンパニーCEOの細井智さんにお話を聞きました。
自己紹介
パイオニアに参画されるまでの経歴と入社のきっかけを教えてください。
新卒でIT業界に身を置き、ネットワークエンジニア、顧客対応SE、プロダクトのマーケティング・プランニング、事業戦略、カスタマーサクセス、DX推進などを30年弱行ってきました。また、その大半をマイクロソフトで過ごしてきており、インターネットの一般化とともに今日に至る IT による企業システムの変革の一端を担ってきました。
2007年頃から本格的にモデルが変わり始めた“クラウド”は、エッジデバイス(スマホ)の発展とともにより大きな可能性を企業にもたらし、ITを単なる情報化ツールから、ビジネスそのものを変化させるインフラとサービスに変え、「DX」という言葉も生まれてきました。私自身もマイクロソフトで “デジタルトランスフォーメーション事業本部”の責任者を担っており、日本の企業のDX推進をサポートしていました。しかし、ベンダー側にいるとあくまでもサポート(お手伝い)でしかなく、真の意味で「自分事」として捉える、実行することで貢献したいと思い、転職を決意しました。
DXを実現するには、企業のコアコンピタンスを基にデジタルとの融合をビジネスモデルに反映させることが成功への鍵であることを、数々の企業の支援を通して感じていました。そのため、コアコンピタンスがあり、変革を推進していこうとしている会社が転職候補でした。また、日本の製造業の苦戦を目の当たりにしていたこともあり、製造業を第一に考えていました。そのような中、伝統のある製造業であり、「モノ×コト」(+ではなく×がポイント)への変革を推進しているパイオニアなら私の今までのスキルを最も活かせるのではないかと思い、参画を決意しました。とロジカルに言っていますが、実は大のパイオニア製品のファンでもあり、プラズマディスプレイやパイオニアDJ、サイバーナビのユーザーでもあり、車好きで音楽好きというのが本当の理由かもしれません(笑)
事業内容
モビリティサービスカンパニー(以後MSC)の事業内容、サービス・プロダクトについて教えてください。
MSCの事業は、文字通りモビリティの世界における 「コト(サービス)」を企画開発し、お客様に提供することを主体としています。
現在は、テレマティクスに関するサービスを主に提供しており、損害保険会社における保険テレマティクスサービスや企業が保有する車両のテレマティクスサービス、カーナビゲーションやドライブレコーダーから取得するプローブデータの提供、これまで培ってきたルーティング技術をAPIサービスとして提供する事業などを行っています。また、今後はモビリティ領域においてパイオニアが保有するソフトウェア資産を活用し、スマートフォンなどのコモディティ化したエッジデバイス向けに、最新の技術と融合した新たな形のサービスを展開する事業も計画しています。
魅力
MSCならではの魅力を教えてください。
パイオニアの一角としてサービスを展開する面白さは、会社としてハードウェアを持ち展開できるところにあります。これは純粋なソフトウェアサービス会社には無い魅力です。しかし、ハードウェアを主体にし、おまけ的にサービスを付けるモデルが先行してしまうと、サービスの魅力を軽視してしまう可能性もあります。私のこだわりポイントは、サービス主体に考え、それだけでもビジネスが成り立つが、ハードと融合することで他社にはない価値を生み出し、提供することにあります。まさに「モノ×コト」です。
「モノ」でも魅力を、「コト」でも魅力を持たせることにより、足し算では無く掛け算で価値を生み出しお客様に魅力として提供することができると考えています。そして、その魅力を届けるにあたり、お客様の成功を主眼に置いてサービスを展開すること、それが私のこだわりです。
課題
MSCの取り組みで、現状課題に思っていることはありますか?
上記で理想を掲げていますが、実はまだまだ課題はあります。
まず第1に挙げられるのが、ウォータフォール型開発がシステム、人のマインドともに大きな割合を占めているところです。モノづくりにおいて品質の担保、部材の確保などしっかりしたプロセスで物を作ることは必須ではありますが、サービスはもっとトライ&エラー型のアジャイル開発が求められます。徐々にアジャイル型開発になりつつありますが、この変革は最も重要なポイントになっています。
第2にサービス企画をどんどん生み出す体制の構築です。年間に数十のアイデア企画を出し、半分はモックアップを作り市場の反応を見て、そのさらに半分は実証実験をし、その中から本格事業化できるものを見極めるというフローと体制がまだまだできていない。サービスにおいてアイデア一発勝負では危険なので、このフローを行える体制構築をもっと加速していく必要があると考えています。
第3には、上記1、2の課題を遂行していくための人です。長年培ったやり方を変えていくのはなかなか難しいですが、こんなのがあったらうれしい、こういうものがあったらもっと便利になる・効率化する、など熱意(パッション)と想いを持って行動に移すマインドが必要です。幸い、ソフトウェアサービスはトライ&エラーをどんどん遂行できるモデルなので、是非そのマインドに変えていきたいですし、そのようなマインドを持つ方々をどんどん外部からも参画いただき融合していきたいと考えています。
今後の展望
今後の展望を教えてください。
今年の4月に、MSCとして新たに「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を定義しました。
方向性としてのミッション、ビジョンを掲げ、そこに向かって チーム全体の行動指針としてバリューを定義しています。熱い想いを持ち(Passion)チームや顧客に誠意をもって、スピーディーに対応していくために、自分を磨いていくという想いです。
この定義に沿って、上記にも示した「どんどんアイデアを出し」「トライ&エラーを恐れず」「お客様が成功できることを支援」していきたいと考えています。
そのためには、「企画開発⇒マーケティング⇒セールス⇒カスタマーサクセス」をよりスムーズに展開できる組織体系にもしていくつもりです。
そして、サービス単体でもビジネスを遂行できるサービスを作り、ハードと融合して更に価値を高めていきます。実際に来年に向けて数々のサービス主体の開発も行っており、今から楽しみにしています。
最後に
一言メッセージをお願いします。
パイオニアは伝統のある製造業です。ただ伝統・製造だけではなく、サービスを拡充し変革(「モノ×コト」を融合して新たな価値を生み出す)に向かっている会社でもあります。
チーム一丸となってビジョンに向かって動いている組織ですので、共感いただけここで一緒にやっていきたいと思う方“大歓迎”です。是非このビジョンを一緒に達成しましょう。