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マルチに進化する、パイオニアのデザイン

従来の「“モノ”を売る」ビジネスモデルに、ソフトウェアなどの“コト”を掛け合わせ、ソリューションサービス企業への変革を推進しているパイオニア
その中で社員は何を考え、どのように働いているのか? 社員にインタビューしてみました。

今回話を聞いたのは……

田中 淳一
デザイン部 部長


業務内容

──“パイオニアのデザイン”を定義する

新卒で入社して以来32年、ずっとパイオニアのデザインを見てきました。当時はひとつのチームに配属されたら4~5年はそこに留まり、必要に応じてその道のスペシャリストになる、というキャリアパスが多く見られましたが、僕はなぜか短いスパンで異動し、いろいろとやらせてもらいましたね。ハードウェアデザインの担当者として、すべてのジャンルを渡り歩きました。いろいろ見てきたその経験を買われて今のポストに就いたというのが、キャリアの経緯です。
 
歴代の製品を見ていると、具体的な定義はなくとも、受け継がれてきた感性的な“パイオニアらしい”デザインが、やはり存在するんですよ。その内容を時代に合わせて進化させ、より強いものにしていくために、先日デザイン部のフィロソフィーとアイデンティティを改定しました。まずはユーザーの想いをしっかり聞いて、次に独創性を発揮しながら潔く表現すること。またこれからは“製品を世の中に出して終わり”ではなく、フィードバックをきちんと受け止めて改善を重ねることが重要になります。そんな考えを、お客さまと「共に紡いでいく」という言葉に込めました。デザインの力でパイオニアを“強く”することが、私たちの大きなミッションです。

今、取り組んでいる課題

──ビジネスの変化に合わせたゴールの再設定

かつての日本において、我々のようなメーカーは技術力がすべてでした。各社の技術には特徴やバラつきがあって、その特性を見て製品が買われていました。だから日々研究を重ね、“いかに新しく先進的な技術を開発するか”ということが、製品の価値をそのまま左右していたんです。けれど1990年代頃より、その技術的な違いが以前に比べて少なくなり、横並びの状態になってきました。それによって製品を選ぶ基準が“見た目”にシフトし、時代とともに使いやすさや心地よさといった要素の比重が大きくなってきました。例えば冷蔵庫に両開きの扉のデザインが登場したのもこの頃で、キッチンのどこに置いても機能性が担保され、今では当たり前の機能として定着しましたよね。これってまさしく、デザインの力でユーザーの体験価値が高まった一例です。
 
近年では多くのハードウェア会社が“モノ”だけではなくサービスも提供するビジネスを手掛けるようになり、知見を強化することが必要になってきています。その変化に対応するため、幅広い知識の習得とスキルの向上に取り組んでいるんです。その一つの取り組みが、“ハイブリッドデザイナー”の育成。単純に生産性を上げる取り組みというわけではなく、UXからUI、ハードまで通して携われるようになることで、開発当初に独創性を発揮して掲げた“コンセプト”を、ゆがむことなくユーザーに届けられると考えています。

チーム独自の文化

──受け継がれる、部内独自のデザインアワード

”パイオニアらしさ“を実感できる機会として、一年間でそれぞれが取り組んできたデザイン業務を独自の選定基準で評価する、部内アワードを開催しています。
 
選定基準は、先ほど述べたパイオニアのデザイン部が掲げるアイデンティティやフィロソフィーを体現できているかどうか。まずはデザインのマネジメント陣が一つ一つチェックして点数をつけ、合計で75点以上が本選に残り、そこから部の全員で投票し合って決めていきます。従来、メーカーですと“売れたかどうか”が評価基準になりがちですが、そうではなくて“よいデザイン”なのか、“パイオニアらしい”のかどうかで選びますね。このアワード選定にメンバー全員で取り組んでいると、だんだんと“パイオニアらしさ”が各デザイナーの中に醸成されていくんです。
 
例えば車載電子機器の中ではカーナビが花形とされ、よく売れる製品です。でも、それをたまたま担当して売れ行きがよかったから評価されるというだけでは、ユーザーのことを本当によく考えている優れたデザインや、パイオニアらしさとはどういうことかというのを、見落としてしまうと思うんです。この部内アワードはそんな“売れ筋製品の影に隠れがちな本当によいものを評価したい”という思いから生まれた、パイオニアデザイン部の伝統みたいなものですね。

この会社に入ったらできること

──デザインをツールに社内外へ発信

会社は今、サブスクリプション型のSaaS企業へと大きく舵を切り、新たな領域に挑戦しているタイミングです。パイオニアのデザイン部では、これまでの経験をフルに生かしながらイノベーションを起こせる機会が増えていると思います。通常のデザイン業務とは別に、年に一度「デザイン・ラボ」という発表会も開催していて、通常業務とは別に行ってみたいビジネスなどのある人たちが集まり、デザインの研究開発をした結果を社内に向けて発表する会があるんです。自分のやりたいことをヴィジュアル化し、外に向けてアピールできる機会が多いのは、パイオニアのデザイン部ならでは。“言われたことだけやっていてもつまらない”と感じる人にとって、刺激的な環境だと思いますね。

どんな人が向いている?

・さまざまな業務に携わりハイブリッドに活躍したい人
・社会貢献意識の高い人

先ほども述べたように、今は部全体でハイブリッドなデザイナーを育てようとしています。例えば、製品のデザインだけでなく、商品発表イベントにおけるプロモーショングラフィックやスペースデザインなど、ブランディングの一部を担うこともあり、それをプラスに受け取ってくれる人がよいですね。またチームの中には、パイオニアに所属して会社のために仕事するのは当然のことながら、世の中の人々に対して何ができるか、といった社会貢献的な考えを持つ人も多いですね。「いろんなことに興味や好奇心を抱いて、自由な発想で失敗を恐れずにチャレンジしたい」という人に来ていただき、次のパイオニアを背負ってもらえるとうれしいです。
私はデザインの持つ力とその可能性を信じています。

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