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アジャイル開発組織への変革 – Vol.1 コマンドセンター編 –

はじめに

今回は、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社様とパイオニア株式会社(以下、パイオニア)との初対談です。パイオニアがAmazon Web Services(以下、AWS)を活用し、アジャイル開発に挑戦した話をご紹介いたします!

以前の記事にも記載がありますが、パイオニアはSaaSカンパニーとして変革し、“モノ × コト”へ加速をするため、昨年8月にSaaS Technology Center(以下、STC) を立ち上げました。

STCのミッションの 1つが「アジャイル開発組織への変革」です。 

これからパイオニアを支える開発チームになるために、新しく標準アーキテクチャ、開発手法を確立し、組織変革、カルチャーチェンジをより進めていく必要があります。

今回AWSが提供する、体験型ワークショップ (Experience-Based Acceleration (以下、EBA) に参加しました。EBAでは、AWSの伴走を受けながらパイロットプロジェクトを進めて、移行手法、組織変革、カルチャーチェンジを体験しました。

全3回に渡り、EBAに参加したパイオニア社員とAWSJの方々との対談形式で内容を振り返ります。

第1弾はEBAの全体方針などのステアリングコミッティの役割を担う「コマンドセンター」を主題にしてお話していただきます。(※対談用衝立あり、写真撮影時のみマスクを外しています)

対談者紹介

恒川(パイオニア):
本日は宜しくお願いします。最初にまず自己紹介をさせてください。1994年パイオニア入社以来、開発業務に携わってきました。10年程前からサーバーを使ったサービス開発のプロジェクトマネジメントを担当し、近年はインテリジェントパイロットのクラウド基盤の開発および運用を担当しています。

パイオニア株式会社 恒川賢二

西部(AWSJ):
ありがとうございます。では、私も自己紹介させて頂きます。

国内SIerにてアプリケーションエンジニアとしてキャリアをスタートしました。PM、データセンター運営のリスク管理、システム運用サービス構築などを経験してきました。

その後、AWSJに入社し、現在はカスタマーソリューションズマネージャー(CSM)を担当しております。お客様のクラウドジャーニーの伴走者として、IT戦略立案のご支援、AWS移行プロジェクトのご支援など、お客様のクラウドジャーニーのステージに応じて、多面的にご支援させて頂いております。本日はどうぞ宜しくお願いします。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 西部信博 

EBAの実施の背景

西部(AWSJ):
昨年、御社は新しい組織を立ち上げ、組織変革や新しい開発手法の確立に向けて活動されておりました。

その一環として、AWSがEBAというプログラムを通じて、御社のパイロットプロジェクトをご支援させて頂きました。その経緯をお伺いできますでしょうか?

恒川(パイオニア):
これまでのパイオニアのクラウド開発は外部発注がメインでした。そのため、社内に開発ノウハウも溜まりにくい事や、ウォーターフォール型の外部発注だったため機能検討を始めてからサービス提供できるまで期間が長くなる、という課題がありました。

このような課題を解決すべく昨年8月にわれわれのSTCが発足しました。外注型から社内でのアジャイル開発に移行し、高品質かつ迅速なサービス提供を目指し、そこに向かって変わっていこうとしています。

ただ、目指している理想的な組織にすぐにはなれません。参加した我々の開発チームもそれぞれに経歴を持ったメンバーで構成されていますが、まだ、アジャイル開発に熟練したチームにはなっていません。組織としてもアジャイル開発に適したプロセスが整備できていませんでした。

今回のEBAでは、これまで経験のなかった言語であるRustを用いて、シンプルな機能実装に取り組み、アジャイル開発の実践を通してプロセスを決めつつ、チームのレベルアップをはかりました。

アセスメントからパーティー実施および振り返りを通して

西部(AWSJ):
昨年、夏頃発足された組織が、秋頃にはEBAを実施されたので、とてもスピーディな立ち上げだったと感じています。

今のお話の中で、「アジャイル」や「EBA」というキーワードが出ましたので、その点について、もう少し詳しくお話させてください。

ご承知の通り、クラウドサービスはすぐに実験ができて、やり直すこともできるため、アジャイル開発と相性が良いです。AWS流のアジャイルの考え方をベースとして提供しているのがEBAというプログラムです。

昨年、EBAの中でもモダナイゼーションをテーマにした、モダナイゼーションパーティーというワークショップを御社に提供させて頂きました。

このワークショップでは、前段でAMA(Application Modernization Assessment)というアセスメントを実施し、ToBeアーキテクチャを固めた上で、アジャイル型で構築を進めていく流れになっています。 アセスメントからパーティーの実行までそれぞれのステージごとに振り返りをさせてください。先ず、アセスメントに関してはいかがでしたか?

 ※パーティーとは:EBA(体験型ワークショップ)を実際にコーディングなどの作業を実施する3日間のこと

恒川(パイオニア):
最初に思い出されるのは、アセスメント項目数の多さです。既存基盤についてや性能要件、デプロイの方法、DevOpsに対する考え方など、数十項目にも及ぶ質問がありました。

これらの回答を通して、我々が今どういう立ち位置で、どういう課題があるのかを再認識できたという印象が非常に強いですね。

西部(AWSJ):
ご承知の通り、アーキテクチャを検討する上では多くの項目を検討する必要がありますが、おかげさまで、2週間という期間の中で、ToBeアーキテクチャを十分に議論することが出来ました。

非常に密なコミュニケーションを取らせて頂けたことで、共通認識を持ってEBAに向かう事が出来たと思います。アセスメント後のパーティーの準備のフェーズはいかがでしたでしょうか?

恒川(パイオニア):
パーティー準備のフェーズは数週間にわたって行いましたが、2つのチームに分かれてそれぞれ週2回、さらにコマンドセンターで週2回の打ち合わせを実施する濃密なスケジュールでした。

AWSの方々も携わって頂き、様々な事をパーティーに向けて準備できたのは非常に心強かったですし、また皆様のアドバイスがあったからこそ、迅速に準備が出来たという印象があります。

西部(AWSJ):
準備活動の中で、非常に多くの判断をスピーディーに行う必要があったと思いますが、御社は「これはやる」,「これはやらない」と取捨選択が非常に早かったことが印象的でした。

パーティー準備4週間を最大限活かすことが出来たのではないかと思います。では、実際にパーティーを3日間実施した中でどういった感想をお持ちでしょうか?

恒川(パイオニア):
EBAの3日間はまさに”合宿”と言う感じでした。

朝から夕方まで3日間ずっと一緒にビデオ会議で打ち合わせをさせて頂き、各メンバーも常にカメラをONにして作業していたので、あたかも膝を突き合わせて打ち合わせしている様な感覚で、すべてのメンバーが関わりを持てているな、と感じました。

やはりすごくメリットを感じたのは、疑問点が出ても、すぐに解決のサジェスチョンをAWSさんから頂けることですね。

AWSさんからは西部さんをはじめ各チームに進行役の方やスペシャリストSAの方にも参加して頂けていましたので、課題・疑問点が出ても即座にサポートを受けて解決できました。

この点は非常に心強く、3日間のパーティーでスピーディーな動きを取る事ができたと思っています。

西部(AWSJ):
実際に構築をご担当される方も、あれだけ集中して取り組める、かつずっとオンラインでつなぎっぱなしでコミュニケーション取りやすい環境があるのは、なかなか普段の業務の中では難しいことだと思いますし、新鮮だったかなと思います。

また、恒川さんにおかれましても、課題発生時にメンバーがどう振る舞うのか?をつぶさに見れて、マネジメントの視点でも非常に気付きが多かったのではないかなと感じております

では、バーティー実施後にレトロスペクティブという振り返り会のワークショップを実施しました。その点はいかがだったでしょうか?

恒川(パイオニア):
各メンバーが3日間のことを思い出しながら改善点を話していましたが、今まで内部でやった時との違いを感じました。

それはそれぞれのメンバーが”次はこういうことをしなきゃいけない”などの積極的な発言が多くなった点です。3日間のパーティーを経験して変わった点だと思います。

あとは、レトロスペクティブの中ではタイムライン(時系列)で”こういうことがあったね”っていうことを、それぞれみんなの中で思い出す作業がありました。このタイムラインでの振り返りは非常に良い取り組みでしたので、早速我々のレトロスペクティブでも採用しています。


EBAを実施して感じたこと

西部(AWSJ):
色々な振り返りの手法があるかと思いますが、繰り返し取り組む中で形骸化してしまうことが往々にしてあります。

様々なやり方を把握した上で、イベントに応じて取捨選択するなど、変化を加えていくことが、継続的な活動をする上では重要になってまいります。そういう意味で、新しい方法をこの機会に得て頂けたのは、非常に良かったのかなと思います

EBA全体を通して何か変わったことや、お気づきの点があればお伺いしても良いでしょうか?

恒川(パイオニア):
パーティーのコンセプトで”褒めること・称えること”がありました。この考え方を通して、結果的にメンバーが積極的な発言が多くなったと感じました。

恐らく心理的に安全性を感じて、“発言しても褒められる、元気づけられる。それなら、もっと積極的になろう”というイメージがつき、その変化として前向きな発言が出てきたと思います。

特に若手のメンバーがより積極的になったのを感じました。「次これやります」「こうした方がよい」という発言は今までは出なかったのですが、EBA後には出てくるようになりました。チームとして変わったなという印象を受けました。

西部(AWSJ):
なるほど、良い流れが生まれていますね。
お話を伺っていると、今回のEBAは、まさに組織変革に向けたカルチャーチェンジの第一歩だったのかなと感じました。

恒川(パイオニア):
我々以外にも様々な開発チームがありますが、これから文化を変えて、組織としてアジャイルが出来るような素地を作っていきたいと思っております。

西部(AWSJ):
素晴らしいですね。普段と異なるプロセスを経験し、組織や働き方を変えていけることがEBAの醍醐味でもありますので、御社は十二分にEBAのメリットを享受頂けているように感じます。

今回のEBAの1つの目的として、開発プロセスの変革もございましたが、その点はいかがでしょうか?

恒川(パイオニア):
今回、EBAを通して、コーディング後のビルド・テスト・デプロイを自動化することができました。

このCI/CDに向けた取り組みは今後の礎になったと思います。これを社内で標準化し、CI/CDが円滑にできるようなプロセスを作っていきたいなと思っています

西部(AWSJ):
開発の品質・スピードを向上させるうえで、CI/CD環境などインフラの足回りを整備しておくことが非常に重要になってまいります。

今回のEBAの中で、CI/CD環境を整えることが出来たことは、大きな成果だと思います。本日のお話を通じて、EBAを通して、カルチャーチェンジ、開発プロセスの変革が進んでおり、非常によい成果が得られていると感じました。

EBAを提供させて頂いた私としましては嬉しい限りです。

STCは異なるバックボーンの方々が融合した組織だと思いますが、活動をご一緒させて頂いて、とてもフレッシュで刺激的なチームだと感じました。

この後は各ワークストリームのお話もお伺いできればと思います。本日はありがとうございました!!!

恒川(パイオニア):
ありがとうございました!


最後に

本日お話しているEBAに関しては、Amazon Web Services ブログで詳細を確認することができます。

ご興味ある方は是非ご覧ください。また、パイオニアでは変革に向けて一緒に働く仲間を募集中です!老舗メーカーの変革に少しでも共感、チャレンジしてみたいと思われた方は、こちらの採用ページをご覧ください。