みんな大好き、人気声優がドライブ中の道案内人に?!音声再生の仕事を解剖
パイオニアが2022年3月に満を持して発売した、“会話するドライビングパートナー”「NP1(エヌピーワン)」。
次世代通信型ドライブレコーダー、スマート音声ナビ、クルマWi-Fiなど多彩な機能を搭載し、運転中のあらゆる場面で会話を通してドライバーをサポートする世界初※のAI搭載通信型オールインワン車載器です。
NP1の中でも要となる"音声"技術。その開発の裏側について、Cross Technology CenterのPiomatix情報サービス部より6回に渡り連載をお届けしています。
※ドライビングパーソナル音声AIを搭載したコネクテッドデバイスとして、ESP総研調べ (2022年3~4月実施のカーエレクトロニクス製品に関する市場調査)
今回話を聞いたのは……
「NP1」の根幹を担う、“音を鳴らす”というシステム
池田:
僕たちが所属しているのは、パイオニアの最新技術を集結させたオールインワン車載器である「NP1」の中でも、音声の再生に関する業務を担当しているグループです。
その役割は大きく分けて二つ──「NP1」が発話する音声をつくることと、その音声を機器に再生させること。
例えば「次の交差点を左です」という内容を発話させたい時、まずは他社の音声合成サービスを使い、テキストデータから音声ファイルを作成します。
そしてそれを調整し、正しいイントネーションで問題なく伝わるように再生できる仕組みを整え、管理する。また僕は音声再生チームのリーダーを務めているので、サーバー開発や他製品の開発担当も兼任しています。
渡邊:
「NP1」は、主に音声によるサービスを提供する製品。
しっかり発話できてこそ成立するので、他プロジェクトにおける音声機能とも関わりがあり、それらを支える根幹部分といえると思います。
また昨年9月末に「NP1」がサービスを提供する音声、すなわち“コエ”を着せ替えることのできる機能を新たに搭載したのですが、その実装も担当しました。
キャリアについていえば、僕も入社してしばらくした頃から、ずっと池田さんと同じ課で働かせてもらっていて。カーナビのソフトウェア開発を経て、「NP1」の音声再生グループへ配属されました。
この仕事のやりがい──心地よさを提供しつつ、安全面も保障する
池田:
この製品においては、社内のさまざまな技術を活かしてどんな仕様・新たなサービスを生み出すのか、を考える段階から関わってきました。
それまで知らなかったことでも、ほかのエンジニアとやりとりしながら進めてきた過程は、大変ながらもやりがいがあったといえますね。
音声再生は、「NP1」のサービス提供において主軸となる機能の一つ。
いろんな立場の人が使いやすいように考えながらつくっていくのは、難しくもありおもしろい部分です。
渡邊:
会社の技術を集めた花形製品の開発に一から携われたことは素直にうれしく、エンジニアとして自己の成長を感じられる経験となりました。
これまでの業務に比べ、部門を超えてさまざまな社員とやりとりする機会が格段に増えたので、提案内容からスケジュール管理まで、コミュニケーション力が求められるのも新鮮です。
また、先ほど述べた“コエ”の着せ替えという部分において、ユーザーや声優さんのファンの方々から大きな反響を得られたときは、それまでの苦労が大きく報われた気持ちになりましたね。
従来は男性・女性の音声が1種ずつの、合わせて2種類で対応していたのですが、最新の音声合成技術を導入し、人気声優の悠木碧さんの声質を使用した2種の音声と、より自然なイントネーションで話す男女の音声2種という、合計6種類の“コエ”から選べるようアップデートを行ったんです。
管理するデータ量や種類が増えたので、エンジニアの仕事としてはより複雑化。チーム外の社員からの問い合わせ対応も増え、責任が大きくなりました。
でも、リリース後はネット上などでたくさんの人のうれしい反応や生の声が得られて。
実装直前まで不安と期待が入り混じったような気持ちでいたのですが、予想以上に多くのレビューを目にしたときは心から“頑張ってよかった”と感じられました。
それからはたまに、自分のモチベーションをあげたいタイミングでエゴサーチをかけ、元気をもらっています(笑)。
池田:
ユーザーからの反応の中にはもちろん「大好きな悠木さんの“コエ”に着せ替えできてうれしい」というものもあれば、「アップデートを機会にいろいろ使い分けてみて、男性の“声”が自分にとっては聞き取りやすいと気づいた」という内容も。
今回の導入では“さまざまな声質から好みのものを選んでもらえる”ことで、製品に対するユーザー満足度の向上を達成しました。
それに加えて、自分にとって聞き取りやすい声質に着せ替えてもらうことで、車載器として最も重要な“情報を正確に伝える”という役割や安全面の強化にもつながったんだな、という気づきもありました。
その側面は、アップデートに取り組んだ僕たちにとっても新たな発見でしたし、「やってよかったな」と感じられた大きな利点でした。
渡邊:
助手席でドライブをアシストしてくれたり、盛り上げてくれる誰かの声を好みや気分に合わせて変えられるというのは、これまでの世の中になかったおもしろい体験だと思います。
開発している僕たちが使っても、机上ではなく実際の車内での使用時に、「今の音声アシストは良かった!」と驚く場面は多いんですよ。
車内で実際に体験し、味わってもらわないと、この感動が伝わらないのがくやしいのですが……。ちなみに“コエ”のサンプルであれば、公式HPやスマホの無料アプリから聴けるので、それだけでもぜひチェックしていただきたいです。
これからは「音声」を、もっと多彩で確実に
池田:
今後も「NP1」に関してはさまざまなアップデートが施されていくと思います。
その中でも「もっと声優さんの“コエ”のバリエーションが欲しい」など、音声の着せ替えに関するものは要望が多いので、検討していきたいですね。
過去の悠木碧さんとのコラボレーションにおいては、合成音声ではない悠木さんの収録音声を期間限定で配信する試みなども行い、たくさんの方に喜んでいただけました。
声質のバリエーションを増やす以外にも、季節やイベントに合わせた内容の音声をサプライズで配信するなど、さまざまな可能性があると感じています。
渡邊:
そういったキャンペーンをきっかけに、新たに手に取っていただくことももちろん喜ばしいこと。
早いうちにゲットしておくと、そうしたアップデートごとに「こんなふうに進化したんだ!」と、より新鮮な感動を味わってもらえると思います。
前回の“コエ”のアップデートでも、「NP1」の購入時には予想もしていなかった突然の変化を受けて「最高のご褒美だ!」とインターネットに書きこんでくださったご意見をエゴサーチで見つけ、僕までうれしかったです(笑)。
池田:
それからもちろん、同じ漢字でも異なる読み方やイントネーションで発音される単語の間違いなどについても、日々改善を重ねています。
例えば「我孫子(あびこ)市」を「がそんし」と読んでしまう……といった現象は初めのうちは多々起こっていたので、これまでひとつひとつ調整してきたんです。そこをスムーズに修正するプロセスを強化していくことも、今後は重要です。新しいサービスをどんどん打ち出していくにあたって、エンジニアの数もより多く必要になってくると思います。
渡邊:
Cross Technology CenterではサーバーやAWSなどの研修を受けさせてもらえたり、試験にかかる費用を会社が負担してくれたりと、エンジニアとしての成長がサポートされていると感じます。
もともとソフトウェアを開発してきた企業なので、技術的にはサーバーに関する知識のある方は特に活躍できる環境だと思います!
どんな人が向いている?
渡邊:
やはり社名の“パイオニア”らしく、開拓者精神、つまりは「新しいことに臆せず取り組みたい」という気持ちを持っていることは大事だと思います。
また、開発の時期によっては急ぎの修正やアップデートの必要にかられるので、そのような場面でもアクティブに動ける方が合っていると考えますね!
池田:
そうですね。また、コミュニケーションはチャットベースが多いですが、面識のない社員に突然メッセージを送らねばならないような機会もあるので、そういうやりとりも負担だと思わずに取り組める人だとよいと思います。
最後に
パイオニアでは一緒に新しいサービスを作ってくれる仲間を募集しています。
カジュアル面談も随時、受け付けています。
興味を持っていただけた方はぜひ、採用情報からご応募お待ちしています!