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「プローブデータ活用で広がる未来」について聞いてみた!

今回は、パイオニアが長年にわたり蓄積しているプローブデータの活用とビジネスについてご紹介します。現在の活動や活用事例に始まり、今後の方向性までを担当者との対談形式でお届けします。

(※対談は話者間の距離をとって行なっています)

プローブデータに関して、解析やシュミレーションにご興味のある方は、下記よりお気軽にお問合せください。

馬場:
パイオニア公式noteをご覧の皆様、こんにちは。
モバイルサービスカンパニー DX事業開発室の馬場と申します。私はモビリティデータを活用した事業検討や法人向けの新規事業開発を担当しています。

対談の進行を務める馬場

本日は、パイオニアの「プローブデータ活用で広がる未来」をテーマに対談形式でお送りします。よろしくお願いします。
本日対談いただく石塚さん、自己紹介をお願いします。

石塚:
SaaS Technology Center  SaaSテクノロジー統括グループ  サービス開発部  バックエンド2課の石塚と申します。パイオニアのプローブデータ活用の推進を担当しています。

プローブデータ活用を推進する石塚

プローブデータとは?

馬場:
早速ですが、テーマにある「プローブデータ」という、普段聞き慣れない言葉なのですが、これについて伺いたいと思います。
プローブデータとは、どのようなデータなのでしょうか?

石塚:
プローブデータは、クルマが走行した位置や車速などから生成されたデータを指しています。これは各車両からアップロードされたもので、これらをまとめてプローブデータといいます。

馬場:
ありがとうございます。
このプローブデータは、パイオニアが提供している車載製品全てから取得できるデータなのでしょうか?

石塚:
通信機能を持つカーナビゲーションからのアップロードによりデータを取得しています。

馬場:
なるほど。プローブデータはクルマから通信を介してアップロードされているデータなのですね。
平日の通勤や週末のドライブなど、色々なシーンでクルマが走行するデータが集まると様々な活用ができそうですね。
そのようなプローブデータの活用に関して、取り組んだきっかけや成り立ちについて改めて教えてください。

プローブデータ活用に取り組んだきっかけ

プローブデータ活用に取り組んだきっかけは・・・

石塚:
私たちパイオニアは、個人の経験や知識、とりわけクルマでの移動中に得られる情報、これらを『集合知』とか『知の共有』と呼んでいるんですね。

通信モジュール、通信機能が搭載されているカーナビゲーションから得られるプローブデータ、これをクラウドや専用サーバに上げてネットワーク経由でユーザ同士共有しようという目的・コンセプトのもと、2006年にスマートループというサービスを立ち上げました。これが元々のプローブデータ活用に取り組んだきっかけです。

馬場:
16年間ずっとサービスをやっているということですね。ビッグデータとしてデータ活用が話題になる2010年初頭よりも前から既に取り組んでいたことになりますね。

石塚:
このサービスは具体的に言うと、プローブデータをもとに各道路での混雑状況を可視化・見える化し、スマートループ渋滞情報としてお客様に提供しています。

私たちがこのデータ提供を始めたきっかけは、「このデータを活用し、もっと社会に貢献できないか? せっかくパイオニアでモビリティデータを活用できるので、何か社会課題の解決に使用できないか?」という観点で活動し始めたということがきっかけです。

ただし、匿名加工情報として、利用範囲であるとか利用目的を定めユーザの不利益にならないような配慮をしています。

馬場:
渋滞情報という言葉が出たのですが、集めたデータから渋滞情報を出す仕組みは実際どのようになっているのですか?

渋滞情報を出す仕組みって?

石塚:
アップロードされたデータを道路ネットワークデータに張り付けて混んでいるところと空いているところを分かりやすく見える化し、約5分毎にクラウド上から各カーナビゲーションに配信しています。

普段目にする渋滞情報の仕組みに興味津々

馬場:
地図上に渋滞情報が線となり色で分かる、普段目にするカーナビゲーションでお馴染みの表現となっているのですね。

石塚:
カロッツェリア」ブランドで展開するカーナビゲーションの「スマートループ渋滞情報」の特徴は、第一にGPSやセンサーにより一定間隔で情報を取得していますので、非常に正確で位置精度が高いということです。また、道路や橋などの幅を表す幅員5.5m以上の道路を対象にしてデータを生成し、日本全国をカバーしています。なので、網羅率が高いというのが第二の特徴です。

馬場:
スマホの地図アプリでも渋滞情報が出たりするのですが、トンネルに入ると情報が途切れたりします。この辺りも渋滞情報は出るのですか?

石塚:
トンネルの中でも軌跡が取れるように車速パルス(車速信号)など、色々な補正機能を搭載していて、トンネルの中でも位置を割り出すことができるようになっています。

馬場:
それは良いですね。スマホの地図アプリですと、トンネルに入ってしばらく経つと現在位置を捕捉できず画面が止まってしまうことが度々あります。スマートループはどこを走行していてもデータは集まっているので、それに応じた渋滞情報が出せるということですね。

今後は、カーナビゲーションからの高精度なプローブデータとスマホアプリからのプローブデータを組み合わせることで、リアルタイムで質の高い渋滞情報が全国どこでも出せることになります。スマートループの展開はそこを目指したいですね。

石塚:
ですね(笑)

ですね(笑)

馬場:
スマートループ渋滞情報以外のデータ活用についてはいかがですか?

渋滞情報以外に活用しているデータは?

石塚:
走行履歴データのほか、災害時通行実績データ画像データ、あとはヒヤリハットと言われる急減速多発地点データなどを提供しています。

走行履歴データの可視化


馬場:
急減速多発データというのは興味深いですね。実際に事故につながる可能性がある地点ということですね。

石塚:
所謂、ヒヤリハット地点と呼ばれるものです。
急ブレーキを踏むことが多い地点と、事故発生地点というのは実は深い相関があるってことが分かっていまして、ドライバーが急減速する要因を分析して改善策を施すことで事故の低減につながります

地図上に急減速多発地点を表示することで事故発生の可能性のある地点を抽出し、道路形状や周囲環境を分析するなど、改善策の検討に使えると考えています。

さらには、改善策を講じた後に改善の前後で、どれだけ効果があったのかを測ることもできるので、事故分析に有用であると考えています。

関東における急減速多発地点

どのような方々にデータを提供しているの?

馬場:
それはデータ解析として良い事例となりますね。実際、どのような方々に使っていただいているのですか?

パイオニアのプローブデータは「非常に精度高くデータ網羅性も良い」と評価を受けている

石塚:
例えば、社会課題として交通関連の研究をしている民間の研究機関コンサルタント、それから大学の研究室であるとか、交通政策の推進を図っているシンクタンク、このような方々から引き合いがあります。

これまで比較的専門性の高い人たちでないと活用できなかったというところがあり、今、申し上げたような方々に限られていたというのが実態ですが、ご利用いただいた皆様からは「非常に精度が高くデータ網羅性も良い」という評価をいただいています。

馬場:
日本全国どこでも精度の高いデータを、汎用的なデータ解析ツールで使えるのであれば、専門家に限らず色々な目的で解析するユーザーが増えてきそうですね。

石塚:
引き合いが増えているのは事実です。
やはりプローブデータを自分達だけで抱えているのではなくて、皆様に使っていただくところに価値というのが生まれてきますから、使いこなせる人が増えてきたということは良いことであると思っています。

馬場:
是非使っていただきたいですね。
急減速多発地点のデータ以外に提供可能なデータはありますか?

石塚:
スマートループアイという機能を搭載したクルマ同士で画像のデータを取得し、共有する仕組みがあります。

馬場:
ドライブレコーダーに代表される車載カメラの画像データを共有してサービスしているものですね。

石塚:
そうです。

馬場:
ドライブレコーダーの普及率は40%超えたと言われています。画像データを共有しているサービスは今の世の中にはないですよね。

ドライブレコーダーの普及率は40%超えたと言われている

石塚:
そうですね。画像データというのは差別化要素として活用の方法があるのではないかと考えています。

馬場:
スマートループアイのサービスは、いつ頃から提供しているのですか?

石塚:
2013年からです。もう9年になります。

馬場:
長年やっていますが、まだまだ知られていないサービスといえますね。ドライブ時の画像データは、煽り運転とかがきっかけで話題になっています。ユーザーからこの画像データを活用したいという問合せはありますか?

走行画像データの提供と活用事例

石塚:
「こういう時の、ここの場所の画像がほしい」というリクエストがあります。その時期とユーザーの希望する場所に合った画像データがあれば提供しています。

馬場:
なるほど。
実際に提供した画像データの活用事例を教えてください。

石塚:
最近、豪雨や地震などの自然災害が非常に増えています。冠水や大雪など、災害時の画像データがいざという時に活用できるということがあって「そういう画像はありますか?」という質問を受けることがあり、ご希望の画像データがあれば提供しています。

道路冠水時(スマートループアイ画像)
積雪・雪道(スマートループアイ画像)

馬場:
画像解析のテクノロジーも日々進化していて、今後の活用に期待できますね。カーナビゲーションやドライブレコーダーに加え、当社の新商品である「NP1」が普及すればするほど、画像データの網羅性や更新頻度が高まるのでユーザーのリクエストに応えられる可能性が高まります。

石塚:
これからどのようにしてサービスに繋げていけるかというところは流動的な部分もありますが、お客様のリクエストにできる限り応えていきたいと思います。

プローブデータ活用で広がる未来とは?

馬場:
最後に、本対談のメインテーマでもある「プローブデータ活用で広がる未来」について教えてください。

プローブデータ活用で広がる未来についての方向性は3つ

石塚:
考えている方向性は3つあります。

1. 使いやすいものであること
2. データ量を増やすこと
3. リアルタイムデータ提供

1つ目は、使いやすいものであること
その為には、これまで手探りの中で一品一葉の提供というのですかね、案件ごとに開発リソースがかかり、なかなかすぐに使いやすい状態でお客様に提供ができていませんでした。

これは、もう少し顧客ニーズを汎用化して専門性が無くても手軽に利用できるようにしていくことで使いやすいものにしていきたい。また、お客様の手元にデータをスピーディーに届けるよう汎用化していきたいと思っています。

2つ目は、データ量を増やしたいと考えています。
新商品である「NP1」などのプローブデータの活用によって、データのボリュームを増やしていきたいと思っています。

3つ目は、リアルタイムデータ提供です。
これらのデータは多くの方に使ってもらってこそ価値が出ると思いますので、リアルタイムでデータを提供できるようにすることで、多くの方々に使ってもらえる機会が増えると考えています。

現在、VICSセンターにて民間プローブデータ活用の実証実験をやっていますが、そこにパイオニアとしてはプローブデータをリアルタイムで提供しています。この実験では、パイオニアを含む4社のプローブデータを使用しています。

広域エリアに対して一斉に交通情報が提供され、パイオニアのプローブデータから作られた交通情報を多くの方々にお届けしています。このように多くの方々にリアルタイムで提供していく機会をもっと増やしていくことができればと考えています。

馬場:
リアルタイムで提供していく機会ができれば、データの価値自体が上がると考えるので是非検討ください。また、各社のデータプラットフォームにサンプルデータを提供するといった活動を行うなどでも機会を増やすことができそうですね。

石塚:
やはりデータの汎用性を高める必要があるのかなと思っています。

馬場:
その為にもデータ量を増やす計画もセットで考えたいですね。台数が増えれば増えるほどデータ量が増え、質も上がると考えてよいですよね?

石塚:
そうですね。やはりデータ量が増えるということは、異常データを排除しやすくなるので、質の向上にも繋がります。
また、データの質という意味では、当社が新しく開発したモビリティAIプラットフォーム「Piomatix」の分析推定技術を活用して精度を補完するなど、質と量の両面で強みを発揮していければと考えています。

馬場:
石塚さんの思いとして、今すぐにでも提案したいものはありますか?

石塚:
先程、スマートループアイの話をしましたが、画像データと走行履歴データは親和性が良いのではないかと思います。これらを組み合わせることによって移動の状況をリアルタイムで正確に把握することが出来ますし、想定外の渋滞であるとか、災害時の道路情報の把握が出来る可能性があります。いつでも見たい場所の画像がタイムリーに見られるということは、価値の向上に繋がると思っています。

多くの方にパイオニアのプローブデータを知っていただきたいですね

馬場:
私自身、プローブデータを扱うビジネスに携わって半年くらいしか経っていないのですが、すごく可能性が大きいビジネスだと感じています。
これまで、社内外含めてデータの存在自体の認知が低いのが実情ですが、今後は色々な方にアプローチすることでデータ利用価値の再発見に繋がり、結果として社会貢献出来ると考えました。
このnoteの対談より知っていただくところから始めていきたいですね。

石塚:
ぜひ!新しい価値を創造していきたいと思いますので、noteをご覧の皆様の中でパイオニアのプローブデータにご興味のある方は、パイオニアホームページよりお問い合わせいただければと思います。

馬場:
プローブデータの認知を拡大してデータの付加価値を磨いていきましょう!
本日は、ありがとうございました。

プローブデータに関するお問い合せ

プローブデータに関するお問い合わせは、下記よりお願い致します。

最後にパイオニアの ”P”マーク で対談を終了しました



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