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限られた空間の中で音を捉え、デザインする仕事

従来の“モノ”を売るビジネスモデルに、ソフトウェアなどの“コト”を掛け合わせ、ソリューション企業への変革を推進しているパイオニア
その中で社員は何を考え、どのように働いているのかインタビューしてみました。

今回話を聞いたのは……

技術開発本部 技術統括グループ
サウンド技術開発部 音場開発課 課長
北村 陽介

業務内容

──音が出る“場”について考え、環境から音をつくる

本日は、私が携わっている音場(おんじょう)開発という業務についてご紹介します。アンプやスピーカーなどのハードウェアとも、それらを操作するためのソフトウェアとも異なり、文字どおり“音を聴く場所”を整えることでサウンドの質を高めるのが我々の仕事。車内空間を科学的に捉え、チューニングをおこなって、臨場感を高めたり聴こえ方を調整したりします。
 
サウンド関連のハードやソフトがあれば、ひとまず“音”は鳴る。でも、それが再生されたときに車内でどのように反響し、乗っている人の耳に届くのか。スピーカーの向きや周波数、音圧レベルや周波数ごとの到達時間といったデータを測定しながらスペシャリストの耳で聴き、知識と経験を活かして最終的な車内の“音”をつくりあげていくのが、私たち音場開発チームです。
 
業務の特性としては、車メーカーを始めとしたお客様のもとへ直接出向いて、要望を聞きながら作業をおこなうことも多いです。音に関するリクエストは感性に依るところが大きく、クライアント側でも明確な言葉で表現できない場合もあります。そんな状況下でも先方のこだわりをうまく汲み取りつつ、さまざまな意見や情報を取り入れながら、論理的思考をもってベストな提案へと変換できる能力が求められますね。

今、取り組んでいる課題

──感性で語られてきた技術に、共通言語を

上記のように、音場開発はコミュニケーション能力が求められる仕事。例えば「女性ボーカルのツヤがない」とか「トライアングルの高音がかすれて聴こえる」……といったような言葉を交わしてやり取りしながら、最終的に関わる全員が納得できる聴こえ方へと音質を調整していかなければなりません。ほかに問題が生じるとすれば「ボーカルがドアに貼りついているように聴こえてしまう」、「低音がお腹に響かない」……といった音場に関する課題などですかね。音質そのものはもちろん、実際に車内の空間で聴いてみてどうなのか……というところも含め、最適な状態をつくりあげていきます。
 
音場開発は耳という器官をフルに使う仕事でもあるので、これまでそのチューニングは、エンジニアたちの職人的な感覚に頼っているところが大きかったんです。しかしビジネスとして新たな可能性を探ったり効率化を図ったりするためにも、個人差なく開発を進められるツールや体制を整える必要性を感じています。そこで、感性に頼りきらず、関わるみんなが同じ指標で分かり合いながら話せる明確なツールを、独自に開発中なんです。

これからの展望──

海外での積極的なビジネス展開も視野に

会社やチームとしては将来的に、海外へビジネスを展開していきたいとも考えていて。そうなってくると、音の好みや表現方法はもっと複雑になりますよね。ざっくり言うと中国ではたくさんのスピーカーを使った“豪華”な音が好まれるとか、アメリカやインドでは低音がしっかりしているほうが評価されるといった特徴があります。それに比べると日本では、中音域や女性ボーカルの音の質が特に気にされることが多いかな。このあたりにこだわるのは、日本やアジア圏に多い傾向ですね。ともあれ、海外進出を見据えて多様な要望への柔軟な対応力をつけるという意味でも、チューニングにあたっての共通認識や指標のようなものが、感性だけに頼らない状態で存在したほうがよいというわけです。
 
現地でのエンジニア育成の可能性も考えているので、そうなるとますます普遍的なツールが必要に。海外のクライアントにもパイオニアの技術を受け入れてもらうために、日本からエンジニアが赴くこともあるかもしれません。海外で活躍できる可能性もあるので、そうした状況に意欲を感じる人や、英語も堪能な人には特に向いていると思います。
 
とはいえ、本当に上質なものは言葉なしでも伝わることがあるのが、音に始まる五感の世界。音響工学の知識があって、すでに屋外イベント・建築空間などにおける音響やスピーカー設計に知見がある人や、車の中という限定された空間での音響シミュレーションや音場チューニングを学びたいという人と、一緒に働けたらと考えています。

どんな人が向いている?

・現状の2〜3歩先を考えられる人
・他者とのコミュニケーションを重ねながら最適解を導き出せる人
・海外を視野に入れて活躍してみたい人

音場開発の仕事の基本として、まずはさまざまな人の話をしっかり聞き、コミュニケーションをしっかり取ることが重要になってきます。そのうえで、「上司や他の同僚ならこの状況をどう考えるだろう?」「ほかのメーカーだったら?」と想像力を働かせることも、最適なプランへたどりつくためには大事。専門性が求められるため現状チームの平均年齢は高めなのですが、若手のメンバ-も積極的に業務に臨んでいます。今後はさらに彼らに活躍の幅を広げてほしいです。

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