CMOが明かす!パイオニアのマーケティングに不可欠なのは?
従来の「“モノ”を売る」ビジネスモデルに、ソフトウェアなどの“コト”を掛け合わせ、ソリューション企業への変革を推進しているパイオニア。
その中で社員は何を考え、どのように働いているのか社員にインタビューしてみました。
今回話を聞いたのは……
パイオニアのマーケティングってどんな仕事?
新感覚の製品を支える、新たな顧客創造
私は、パイオニアが提供する次世代型車載器、「NP1(エヌピーワン)」の立ち上げに関わるべく入社しました。製品がリリースされてからは、徐々に既存製品や全社に関わる部分にも携わるように。現在では、全社の経営戦略本部のCMOと兼任し、コンシューマー向けビジネスの拡大を目指すために新たに組織化したマーケティング部を率いています。
マーケティングという仕事が目指すのは、“買っていただき愛され続ける商品と、その仕組みや状況をつくる”こと。欲しいと思ってもらえる製品を企画・開発し、コミュニケーションを通じてお届け、買っていただいてからもお客さまと継続的な関係性を築くことが求められます。また、“顧客創造”も大切なポイント。すでにある市場はもちろん、これまでになかった新たな市場をつくっていくことで、会社の成長と世の中の満足を増やすわけです。特にパイオニアはこれまで“世界初”をうたったものも多く、これまで世の中に存在しなかったアプローチの製品が中心。なので、ここは大事になってきますね。
だからこそ、マーケターは“なんでも屋”だと私は考えています。お客様の理解、企画から予算確保、広告、顧客サポート……と、全てがマーケティングの活動です。世の中で誤解のある「マーケティング=広告」という立場で、技術や企画チームから新製品が出てくるのを待ち、そこから売る方法を考えるよりも、企画段階から関わる方が本来のマーケティングですし、楽しいですよね。
パイオニアは、マーケターとしておもしろい経験を得られる場だと感じています。まずビジネス領域として、日本では“カロッツェリア”というブランドでカーナビやカースピーカー、ドライブレコーダーなどの車載機器を展開しているBtoCの領域だけでなく、BtoBにおいてSMBと呼ばれる中堅・中小規模の事業や、OEMなどの車メーカーとの協業を行うエンタープライズマーケティングもあります。また、日本だけでなく海外にも事業展開をしています。しかも、今述べたそれぞれがしっかりとしたブランドと売り上げボリュームを持っています。そして広告などのプロモーション領域だけでなく、お客様理解や戦略構築、商品開発などを含む広義のマーケティングが必要とされ、さまざまな経験を生かしながら新しいことを学べるんですよ。
これまでの事例と、今後必要なアプローチ
コミュニケーションの最適化を図る
入社してすぐに取り組んだ「NP1」に関わる業務では、なかなか味わえない新規プロジェクトの立ち上げに関与し、新しい考え方と新しい組織のもと商品とお客さまをつくっていく点で、非常にやりがいがありました。外資系の企業のようにすでに売るべきものが決まっているのではなく、製品の名前やメッセージを決めるところから考え、既存のビジネスと渡り合っていくのは新鮮でしたね。パイオニアの技術力を生かしつつ、“何を良いと思ってもらうべき製品か”ということを深く考えました。
製品の発売前は、“どこを良いと思って買ってもらうのか”を調査などである程度確度を高めることができますが、あくまで仮説でしかないんです。本当にお客さまの心に刺さっているのか、どう感じられているのかを知るために、「NP1」は発売後もユーザーにヒアリングをしながら、製品やコミュニケーションの調整・改善を継続的に行っています。
例を挙げてお話しすると、「NP1」にはさまざまな機能がありますが代表的なものとして、“音声を使った安全でわかりやすいナビゲーション”と“通信機能を用いた次世代型ドライブレコーダー”という側面があります。発売時にメディアで多く取り上げられたのは、“画面がなく、音声でサービスするナビ”という面でした。(注:実際にはスマホのアプリを使った画面もある)
しかし実際に発売してみて、お客さまの「NP1」を購入する決め手となることが多いのは、“クラウド保存で録り逃しがなく、アプリで簡単に記録映像を確認でき、駐車監視などで愛車を見守れるドライブレコーダー”という点だとわかったんです。だったら、コミュニケーション活動を行うにしても、そちらを訴求したアプローチにするべきですよね。このような形でお客様の声を聞き、やり方を修正していくのも、マーケターの仕事といえます。
従来の日本企業は、あらゆる不満が多い世の中で自社の技術力を高め、開発側がつくりたいものや良いと思うものをつくって売るというスタイルが中心でした。より大きく・小さく、より早く、よりきれいに。とにかく漸進的な改善をしていけばものが売れる時代があったわけです。日本の企業の強いところが活かせた時代でもありますよね。
ですが昨今は、さまざまな商品やサービスの機能・スペックが一定のラインまで到達していて、ほぼ満足できるところまで来たように思います。例えば、すでに画質の良いテレビを持っていたとして、4Kが5Kになるのでプラス10万円と言われても、すでに既存製品の品質に満足している人はそこにお金を出すでしょうか。ここで改めて、今までのものとは異なる“新しい価値”を探し、お客さまと一緒に創っていくことが必要になってくるわけで、それを担うのがマーケティングの仕事だと考えています。企業として市場の中に新たな領域を開拓するとき、製品に付加する価値がきちんとお客さまの課題を解決するソリューションになるのかどうかを考えます。
パイオニアのマーケターに必要な能力
客観的に分析し、顧客の気持ちの代弁者に
パイオニアで働くマーケターとして求められる力は、まずデジタルも含めたマーケティングの知識。そしてさまざまな視点から物事を捉えられる分析的、戦略的な思考でしょうか。よくマーケターに向いている人の性質として、“他責ではなく自責で考える”ということが挙げられます。“相手がわかってくれないから悪い”のではなく“自分の伝え方がよくない”と考えるクセ。お客さまをよく知り、そこからどう製品を知ってもらい、理解してもらうか、相手の状況やタイミングを分析しながら考えるんです。ただこれはマーケターだけでなく、ビジネスマンにも重要な性質かもしれませんね。
日本企業という側面から考えると、多様なお客さまがいるということを理解する客観的思考も必要かもしれません。一つの会社や業界に長く居ると常識が固定化して、一般的なものの見方や世代の異なる人の視点とズレが生じます。「さまざまな背景や考え方をもつお客さまがいる」「我々はお客さまの代弁者です」と自分のチームにもよく話すのですが、自分たちが提供できて良いと思うものと、お客さまが良いと思うものがうまくフィットする共通部分を見つけなければならないんです。それから、マーケターとしては、新しいことを知ろうとする意欲を持っているとよい方向に働くと思います。クリエイティブを担当するチームへ方向性を示すことも役割なので、創造力よりも分析力が求められる傾向にありますね。
自身のスキルアップのためにやっていること
あらゆる分野から、隔てなくインプット
私自身が日々行っていること……これはモットーでもあるのですが、まず“お金と時間は自分に投資する”。株などはリスクもありますし、一時的なもので終わってしまう可能性がありますが、さまざまな知識や体験、ビジネススキルやマーケティングの能力は経験として積み重なり、ずっと続いていくんですよね。おのずと仕事の効率や成果、そして自分の評価や給料などにも反映されると思いますし、いちばん頭のよい“投資”の仕方なのかなと気付いてからは、これを心掛けるようにしています。
具体的にいうと例えば、インプットをひたすら増やす。以前、先輩に「アウトプットはインプットを超えないよ」と言われたことがあって、とても納得したんです。「マーケティング」と名のつく本はだいたい読んでいますし、マーケティングの学会に参加したり論文を読んだりと、アカデミックな領域からも刺激をもらっています。本や雑誌、ゲームなどには糸目をつけず、世の中のトレンドやニーズを知るためにざっとカバーしますね。流行っていると聞いたマンガやゲームには、とりあえず一度触れてみる。いちユーザーとして楽しみながら、一歩引いて“なぜ流行っているのか”を考えると、勉強になります。法律やアングラな世界、推し活といった、自分では実際に経験することのない“業界系”のマンガなどは、ある意味効率よく業界の仕組みを学べますし、リフレッシュにもなりますよ。
多忙な毎日でなかなかゆっくりと時間が取れないので、インプットも“ながら”で行うことが多いです。息子とオンラインゲームの「フォートナイト」に興じ、遊びながら最近の流行を学ぶとか、体力維持のためにインナーマッスルを鍛えながら夜中のニュースやテレビ番組、映画、アニメを見る……など。地道にプランクをおこなっています(笑)。読書は、以前なら週末の数時間は喫茶店にこもって強制的に時間を確保して習慣にしていたものの、最近はなかなか難しいこともあるので、また復活させたいですね。尊敬するマーケターのひとりである足立光さんが書かれた『劇薬の仕事術』という本には、僕よりもハイレベルでいろいろ実践されている内容が書かれているので、この本はおすすめです。
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https://hrmos.co/pages/pioneer01/jobs/0030101