元P&G、KDDIマーケターが語る、パイオニアで実現したいこと
今回は、「NP1」の立ち上げとマーケティングプロセス構築の責任者に、パイオニアで実現したいことについて聞いてみました。
自己紹介
パイオニアに参画するまでの経歴を教えてください。
NP事業本部 Chief Marketing Officer の井上です。
新卒で消費財のP&Gに入社、その後、同じく神戸に本社を置く製薬会社のEli lily、ソフトウェア会社のAdobeといった外資系3社を経験、その後、日本企業にキャリアを移し、通信会社のKDDIを経て、2021年4月にパイオニアに入社、「NP1」の立ち上げに参画しました。
業種などはバラバラですが、職種としては、マーケティングとデジタルを軸にしています。
入社の理由
転職のキッカケと入社の決め手は何でしたか?
きっかけは先にパイオニアで働いていた知人の石戸(経営戦略本部CSO室)さんを通じてのリファラルです。
もともと、車好き、オーディオ好きなので、もちろんパイオニアは知っていました。声をかけてもらった当時は、2社ほど最終面接のタイミングでしたが、パイオニアが置かれる状況や「NP1」を含めて取り組んでいること、「老舗モノづくり企業の再建」「新規事業の立ち上げ」「モノからモノxコトへ」「両利きの経営」などのキーワードに魅力を感じ、自身のマーケティングや他業種での経験で貢献できると思いましたし、同時に学べることが多いと思い入社を決意しました。
トヨタの豊田章男社長がおっしゃった通り、現在「100年に一度」の大変革期と言われるモビリティ業界にこのタイミングで関われるということは、非常にエキサイティングな機会だと考えています。
業務内容
現在はどんな業務をされていますか?
「NP1」という新製品の立ち上げに取り組んでおり、現在は特に「売上の成長」と「既存ユーザーの満足度向上」に取り組むステージです。
社内外から人材を集めマーケティング組織の立ち上げを行い、調査・戦略・広告・PR・データ分析・コールセンター・顧客体験改善・カスタマーサクセスなど、広義のマーケティングをチームで取り組んでいるところです。
マーケティングの魅力
パイオニアでのマーケティングの面白さはどんなところにありますか?
これから多くの日本企業に必要とされる新しいマーケティングの取り組みをしていることです。
「NP1」はこれまでにない、全く新しいプロダクト・サービスなので、お客さまのニーズに合ったものを提供するためのお客さま理解とプロダクトの戦略から手掛ける広義のマーケティングに組織として取り組むことができます。どの会社においても新製品を作ることは可能ですが、世の中にないものを一から創っていくという経験はめったにないチャンスだと思います。
また、パイオニアは今まで売り切りのビジネスをメインで行っていましたが、「NP1」はハードとサービスを組み合わせた新しいビジネスです。売って終わりではなく、お客さまに使い方や価値を提案し、サービスを継続的に改善・成長させお客さまと「価値共創」をしていく、そしてその対価としてサービス料を頂き、契約継続をしていただく必要があります。そのため、ポストセールス、カスタマーサクセスというものを大事にしています。これらを私のP&GやAdobeの経験をベースにしながら、日々メンバーと一緒に、次につなげるための組織づくりに取り組んでいます。
大切にしている考え方
マーケティング戦略を考えていくときに大切にしている考え方はありますか?
キーワードとして3つ「顧客起点」「価値共創」「アジャイル」です。
顧客起点
これはマーケティングの基本ではありますが、あまり意識されていないケースが多いと思います。
課題が多く洗練されたモノやサービスが少なかった時代では、技術の進化や製品を高機能化・多機能化することで高い売り上げを得られていたので、プロダクトアウト型でも通用していました。ただ、今の世の中ではどのエリアも必要十分な製品やサービスが溢れているので、モノづくりの考え方を変えていかなければいけないと考えています。「新しい技術でこういうことが出来るから」「社内の偉い人がこう言うから」で意思決定はせず、あくまでお客さまが何に悩んでいるか、諦めているか、提供する体験にどう反応するかを判断基準に変えています。
価値共創
これはマーケティングの学術的領域である北欧学派の「サービスマーケティング」や、「サービス・ドミナント・ロジック(※)」などで議論がされている比較的新しい概念なので、私自身も勉強中なのですが、簡単に言うと下記のとおりです。
1、モノをお金と交換した時点で、お客さまに価値は発生せず、お客さまがモノを活用して初めて価値が発生する
2、企業は価値を理解、実感してもらうための情報や文脈を提案、サポートしていく必要がある
3、そのために企業はお客さまと継続的なコミュニケーションや関係性をもつことが重要
私の部がコールセンターにも責任を持ち、カスタマーサクセスという概念で売った後の関係性に責任を持っているのもこれが理由です。
※無形財である事業や有形財である商品・製品を区別することなくすべて「サービス」であるとして包括的にとらえること
アジャイル
製品を作る際に、もちろん事前調査などで製品機能やメッセージの精度を上げていくことも重要ですが、適時お客さまの状況や反応を見て、テストを重ねながら柔軟に戦略や施策を調整していくことを是としています。
課題
業務の中で何か課題に思っていることはありますか?
「NP1」という商品は、これまでにない「音声」「通信」を軸とした車載機器であり、競合商品がありません。それはつまり、私たちが新しい市場を開拓するという事です。そのため、チームやパートナーと連携し、常に市場の声に耳を傾け、お客さまと向かい合うことが非常に重要です。大きなやりがいもありますが、明確な答えがない中で、「理想と現実」「事実と解釈」を模索するのは、なかなかにハードだと日々痛感しています。
ビジョン
マーケティング責任者として描いているビジョンについて教えてください。まずは「NP1」とそれに続くさまざまなプロダクトの経験と学び、そして成功をベースに、パイオニアの再成長に貢献していくことが重要だと考えています。そのため、我々マーケティングチームは大切な領域を担っていると感じています。
「NP1」という新しいものを創るにあたり、今までのパイオニアにはない知見やノウハウを持っている方にたくさん入社いただいています。生え抜きメンバーにこれまでの経緯や考え方を聞きながら、キャリア採用メンバーの専門性や他業界での経験を軸に、パイオニア、車載機器という市場での最適な形を模索しています。パイオニアは、これまでさまざまな世界初を創り出してきたとおり、技術、モノづくりの強さを持っている会社です。これらを大切にしながら今取り組んでいる考え方や施策を、今後は他の事業部・製品にも浸透するよう横展開していきたいと考えています。
最後に
現在、私達が取り組んでいる事業とその内容は、今後多くの日本企業が必要とするであろう領域です。これらを実現するために、一緒に働く仲間を募集しています。大変な時期ですが、非常に濃厚な経験ができると思いますので、そんな状況を楽しめる方と一緒に働けると嬉しいです。