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海外でユーザーインタビュー

この記事はPioneer Advent Calendar 2022の13日目の記事です。

パイオニアに入って、UXデザイナーとして初めて海外でのユーザーインタビューを経験しました。現地法人の協力のもと、部門を越えてメンバーが初めて協働で行ったUXリサーチの活動でもあり、手探りの中、実際どのように行ったのかを少しだけお話しします。

自己紹介

 SaaS Technology Center モバイル開発部の若葉です。
今年の3月に入社し、主にUXデザイン領域で活動しています。
こちらの記事もよかったらご参照ください。

準備

インタビュー対象者の選出

インタビュー対象者(以下インタビュイー)は、出張前にWEBアンケートを数百人規模で実施し、その中から10数名に協力を依頼しました。

アンケートの設計から対象者選定までのプロセスは、インタビューの質に直接影響するので、かなり神経を注いだところです。

通訳の手配

デプスインタビューの形式で対話を成り立たせるためには、現地の言葉を扱える通訳の力を借りるしかありませんでした。以下の条件に合う通訳者の方に業者を通じて依頼しました。
 
・    ニュアンスを汲み取った自然な返答・対話が可能か?
・    日本語の発音・表現は明瞭か?
・    調査手法やテーマに関して一般的なレベルでの知識があるか?
 
幸い協力いただいた通訳者は、私たちの調査意図を汲んで柔軟に対応出来る大変優秀な方でした。

実査の方法

インタビューの体制

通訳を介するため、一般的なデプスインタビューのように1対1での対話環境は作れません。言葉も文化も異なるからこそ、なおさら圧迫感を与えず、リラックスした状態で話をしてもらう工夫が必要です。
 
作戦として、インタビュアーと通訳に加え、もう一人現地法人の話し上手なイケメン社員にもフロントに立ってもらい、現地語による笑いを交えた雑談でインタビュイーと信頼関係(ラポール)を築く役割を担っていただきました。人数的なデメリットはあるものの、海外拠点があることのメリットを活かしました。
 
インタビュアーは通訳が間に入ることでインタビュイーと直接の会話をしないので、全体的な進行の流れや対話の内容をその場その場でコントロールする権限を持つ「監督」と呼ぶことにしました。その他の出張者、日本にいるメンバーは「裏方」として別の場所からオンラインチャット上で対話内容の記録・実況、時間管理、質問の追加などを行い、「監督」を後方からサポートする形にしました。

インタビューの質を保つために

出張者と日本にいるメンバー、現地法人メンバー、通訳者という人員構成で、全員が一丸となって意義のあるインタビューにするためには、目的認識にブレが生じないようにすることが重要です。 

出張前にはみんなで聞きたいことを発散的に洗い出し、一つ一つ意図を認識合わせしながら構造化と重み付けを行い、インタビューガイドとして整理しました。また、テーマごとに時間配分の目安を定め、日本で本番に近い形でリハーサルを行い、インタビューの大まかな流れのイメージを具体的につかんでいきました。

「監督」はインタビューガイドを参照しながら、自然な対話の流れを組み立てていきます。あくまでガイドなので、一問一答形式の尋問のようにならないよう気をつける必要があります。

「監督」「裏方」の各役割は交代で担当しました。特に「監督」は所属部門の関心ごとの違いや思考の癖、経験値によって対話の質にどうしても差が生じてしまうので、進行が主旨から大きく逸脱している場合は、「裏方」がチャットでリアルタイムに認識を揃えながら「監督」をフォローするようにしました。

実際にやってみて

一般的なインタビューよりも役割や人数が多い体制で、全員が対話の流れに乗りながら即興的に意識を合わせて連携するのは、想像以上に難しかったです。

思い通り進まないことも多かったのですが、何度も「振り返り」と「改善」を繰り返すことで、徐々に全員の息が合っていき、結果的に当初の目的は達成できたと思います。

出張中、インタビューと並行して街中での観察や聞き取りなどのフィールド調査も行ったのですが、インタビューと相互に仮説の精度を高めていくことが出来たのは良かったです。時間の制約が無ければ、インタビューの前段階の調査として集中して行えていると、より良かったと思います。

何より、実際に現地に来てそこに身を置くだけでも得られる学びや気づきは、WEBで得られるものの比ではありません。マインド面でもミッションがより自分ごと化されていくように感じました。

一方で調査での収穫を、出張したメンバーだけでなく組織全体の学びとして意思決定に繋げていかなければなりません。特に海外出張が伴うと、多くの人やお金を動かすだけの明確な意義と収穫の大きさが求められます。

今回調査の難易度が高くなってしまったのもそのためで、次のアクションには繋げられたものの、計画、準備、実査、インサイト抽出、その後の全ての段階で共通認識の醸成が大変でした。ここは国内国外問わず組織的な課題だと感じていて、「小さく素早く繰り返す」アジャイルなリサーチを容易に実践出来る方法を模索していこうと考えています。

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Pioneer Advent Calendar 2022 の14日目は、人事企画部人財企画課 佐藤優里さんの「デスク見せてください!在宅デスクリレー」です。
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