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髙島さんにパイオニアのサウンドの魅力を聞いてみた【後編】

パイオニアのサウンド事業の魅力について、モビリティプロダクトカンパニーCEOの髙島直人さんに入社半年の新入社員が突撃取材。前編に続き、後編パートをお届けします。 

サウンド技術の継承

インタビュアー:
パイオニアは創業してからもう80年以上、サウンド事業を手掛ける東北パイオニアも創設から50年以上と長い歴史がありますが、音づくりの技術はこれまでどのように継承されてきたんですか?
 
髙島:
我々は「TAD (Technical Audio Devices) 」という、コストや手間を度外視して、最高のものを作る、エンジニアがこうあるべきというものを作るオーディオのフラッグシップブランドを保有しているんですが、そこで磨き抜かれた最高の技術や哲学を様々な価格帯の製品に展開しています。

その過程で我々の技術やパイオニアイズムが継承されており、その継承プロセスがひいてはパイオニアの強みでもあるんですね。

「1千万円のスピーカーと数万円 のスピーカーは何が違うんですか?」とか、「同じように紙の振動板やボイスコイルがあるだけで何も変わらないんでしょ?」と言う方がよくいるんですけど、それはもう全然違うんですよ。

技術継承は特に重要なポイントだと語る髙島

 何が違うのかというと、やはりトランスデュースする情報量が断然違うんです。エンクロージャー(筐体)の設計や品質についても細部までこだわり抜いているので、出てくる音の質感が全く違ってくるんですよね。

 こうして最高峰を追究することで得られた技術や哲学、知見を惜しみなくあらゆる価格帯の製品に注ぎ込み、お客様に供給できるところはパイオニアならではの強みだと思います。

「音像と音場を高次元で両立」ハイエンドスピーカー TS-Z900PRS

インタビュアー:
そうなんですか、全ての製品にそんな関連性があるなんて知りませんでした。では、そんなパイオニアのサウンド事業が追い求めるビジネスの形みたいなものがあれば教えて頂けますか? 

より多くのお客様にお届けするために


髙島:
パイオニアの製品を通じて我々の考え方やコンセプトをより多くの自動車メーカー様やお客様にお伝えしたい、我々の製品をできる限り多くの皆さんにお届けしたい、という想いがあります。
 
自動車に関しては、値段やコンセプト、車格など考慮すべきポイントがいろいろあるので、それぞれにどんな製品を当てはめて提案していくか、車の中で最大のパフォーマンスをどのようにして発揮するかを、我々は常に考えています。
 
例えば、ある自動車メーカーのプレミアムブランドに採用されている当社のサウンドシステムがあります。
 
我々は、1989年に採用されてから今日に至るまで、そのブランドコンセプトに合致するサウンドはこうあるべきだ、という音を脈々と作り上げてきました。
 
時にはそのブランドのチーフエンジニアに直接掛け合い、「より音質を上げるには、この車にこうした設計が必要になる」、「この車にはこのようなスピーカーやアンプが必要だ」と、何度も提案と実証を繰り返してきました。
 
我々の音に対する想いを伝えるために、顧客が何を思考し何を追い求めているのか、顧客のコンセプトを徹底的に研究します。そうしなければ、こちらの想いも伝わらないし、顧客が車両に込める想いも感じとれないと考えているからです。

顧客と共に創り上げた一例

これはほんの一例に過ぎませんが、今後も、我々は真摯に顧客のニーズに向き合い、いろんな車に相応しいサウンドを提供し続けたいと思っています。

時代の変化とどう向き合うか


インタビュアー:
近年は音楽の聴き方も多様化していますが、その辺りについて今後の戦略があれば教えてください!

髙島:
現在パイオニアは車 、モビリティ領域に注力して事業を進めています。ただ、今や音楽を聴くスタイルも人それぞれになり、楽しみ方も多種多様ですよね。ヘッドホンをつけて好みの音量で聴く方、ゲームの臨場感を高めるためにより迫力ある音を楽しまれる方、ソロキャンプをしながらしんみりと聴く方とか。世の中のライフスタイルの変化や嗜好のバリエーションが多様化していますから、それらに追随した新しいビジネスについても色々と面白いことを考えています
 
インタビュアー:
車の中も家の中のように環境が変化しつつありますしね。
 
髙島:
はい、特にこれから電気自動車(Electric Vehicle、以下EV)にシフトすれば、車自体が発する音も静かになってくるし、音楽を聴く環境としてはすごく良い環境になると言われています。

その一方で、例えばサウンドシステムには、消費電力をもっと抑えられないか、高効率にできないか、ということが求めれてきます。我々としても現状に甘んじるのではなく、新たな技術開発をしていかなければ、EV化で求められるニーズに応えていくのはなかなか難しくなるでしょう。
 
インタビュアー:
“高効率”というのは、音の電気信号を効率よく伝えるという意味ですか?
 
髙島:
音量を例に説明した方がわかりやすいでしょうか。同じ音量でも高出力のアンプでは電気を多く使ってしまいますが、アンプが省電力になれば電気の消費量を抑えることができます。それに加えて電気信号を音に変換する効率が高まれば、省電力のアンプでも高出力のアンプと同じレベルの音が出せることになりますよね。
 
例えば口径16センチと口径8センチとサイズの異なるスピーカーがある場合、一般的に電気信号が効率的に伝わるのは口径が大きな16センチです。
 
ただ、2つとも同じ音質で同じ音量が出せるというなら、口径8センチのスピーカーの方が車両重量の軽量化といった環境負荷軽減にも繋がるので、顧客にとってメリットが大きいですよね。
しかし、口径が大きくなれば一方で軽量化という顧客要件は満たすことができなくなります。
 
我々は良い音をお伝えするために、顧客が求める全ての要件に叶う必要もあるわけですから、そこで小口径でも大口径のスピーカーと同じ音量が出すにはどうしたら良いかを考えます。
音量を上げるには出力を上げますが、今度は消費電力が上がります。
 
消費電力の増加はEV化が進む自動車にとっては好ましくありませんから、今度は消費電力を以下に抑えるかが課題となります。
そこで、電気信号の変換効率を高めるための技術力が問われるわけです。そこが技術者の腕の見せ所なんですよね。
 
スピーカーを工夫するだけでは対処できないエリアもあるので、そこは信号処理で補ってみたり、技術者が知恵とノウハウと経験を駆使してみたり、とことんやっています。企業秘密もあるのであまりお話できませんが(笑)。                           

技術の話題で盛り上がり、話にもより熱量が増す

私がお伝えしたいのは、やはり会社としてより高い目標に挑むためには高い技術力が必要だということです。その点、パイオニアの今の技術力はとても高いと思います。他社にも決して引けをとらないし、難しいチャレンジだとしても必ず実現できるチームだと自信を持っています。
 
インタビュアー:
良い音を奏でるにはスピーカーが搭載される場所や環境の変化を知ることが重要なんですね!スピーカーは構造的には比較的単純だと思っていたので、奥が深くてびっくりしました。

パイオニアのサウンド事業に興味を持たれた方へ


インタビュアー:
では最後に、このnoteをご覧いただいている皆さんや、パイオニアのサウンド事業に興味を持ってくれている方へ、メッセージをお願いします!
 
髙島:
音、サウンドというのはパイオニアの祖業であるし、今後更に成長が期待できる分野です。今の世の中の変化であるとか、自動車の進化とかEV化に対しても我々がサウンドを提供できる機会はまだまだ十分あると思っています。

そのためには日々技術的なものを磨き上げていかなければならないし、我々としても新たな技術を開発して自動車メーカーに採用して頂く活動を継続していかなければなりません。

これからもどんどん走り続けていくので、そのメンバーに加わりたいという方は是非手を挙げて頂きたいと思います。


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